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Dバックスの一塁手は生き別れた兄弟(?)と再び巡り会えるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ポール・ゴールドシュミット(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)Apr. 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

12月2日、コロラド・ロッキーズはスティーブン・カーデュロをノンテンダーとした。

カーデュロは8月26日にメジャーデビューし、5日後に迎えた29歳の誕生日には、ダブルヘッダーの第1試合に初本塁打(ソロ)を放ち、第2試合にグランドスラムを叩き込んだ。イライアス・スポーツ・ビューローによれば、誕生日にメジャーリーグ最初の2本塁打を打ったのは、2000年以降では、2006年7月2日のエンジェル・パガーンに続く2人目だという。パガーンはダブルヘッダーではなく、1試合2本塁打だった。

年齢からわかるように、カーデュロはプロスペクトではない。2010年のドラフトでアリゾナ・ダイヤモンドバックスから24巡目・全体721位指名を受け、2012年3月に解雇された後、独立リーグで4シーズンを過ごした。2016年はロッキーズ傘下のAAAで打率.308、17本塁打、OPS.889を記録したが、メジャーリーグでは打率.214、2本塁打、OPS.665に終わった。「誕生日に最初の2本塁打」というトリビアだけを残し、このまま消えていってもおかしくない。

ただ、選手としての力量はさておき、カーデュロがメジャーリーグからいなくなるのは惜しい気がする。カーデュロは生き別れた兄弟、あるいはドッペルゲンガーと言っていいほど、ダイヤモンドバックスのポール・ゴールドシュミットと似ている。双子のホゼ&オジー・カンセコもびっくりだ。

ロッキーズは8月末に、こんなツイートをしている。

この写真なら見分けられるが、もっと酷似した写真や映像もある。実際のところ、ユニフォームを着ていなければ、どちらがどちらだかわかりそうにない。

カーデュロと対照的に、ゴールドシュミットはトップクラスの一塁手だ。現在のメジャーリーグではベストかもしれない。彼の名前を聞いたことがないとすれば、Dバックスでプレーしていることと、控えめな性格が理由だろう。2013年と2015年はシルバースラッガーとゴールドグラブを受賞し、MVP投票では2位に入った。オールスター・ゲームには、ここ4年続けて選ばれている。打って守るだけでなく、2016年は32盗塁を決めた。

ゴールドシュミットのプロ入りはカーデュロより1年早く、2009年のドラフトでDバックスから8巡目・全体246位指名を受けた。2人とも、2010~11年はDバックス傘下のマイナーリーグでプレーしたが、チームが重なることはなかった。おそらく、今年9月に行われたDバックス対ロッキーズで――生まれた時に一緒でなければ――初めて顔を合わせたに違いない。

MLB.comの選手紹介ページによると、彼らはどちらも1987年に生まれた。出生地は1000マイル以上離れているものの、ゴールドシュミットの誕生日はカーデュロのわずか10日後だ。

来シーズン、2人は再び巡り会えるのだろうか。12月13日現在、カーデュロの所属球団は決まっていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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