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入学に不安を感じている保護者の皆さんへ:スクールカウンセラーからのアドバイス

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真はイメージ)(写真:アフロ)

この春卒園卒業し、新しい学校へ入学。とてもめでたいことですが、不安を感じている方もいらしゃるでしょう。そんなあなたへ、スクールカウンセラーからのアドバイスです。

■良い形で卒園卒業しよう

今、登園しぶり登校しぶりをしている場合。もう卒園卒業まで、あと少しです。無理に教室に戻すことも難しいかもしれません。もちろん、様々に工夫することはとても大切です。

でも、結果的にこのあとがどのような形の登校になるにせよ、「自分なりにかんばれた」と思えることが大切だと思います。親子でそう思えることを目標にしましょう。

卒業関係の行事や作業がいろいろあるでしょう。できれば、参加したいですね。でも、それができなくても、例えば卒業式に出られなくて「第二卒業式」に出ることになっても、それでもみんなで頑張った結果です。

第2卒業式・第3卒業式とは:生徒の思い、先生の思いがあふれるセレモニー

「いろいろあったけど、頑張った」「卒業(卒園)できて良かった良かった」と思えるようにしましょう。気持ちよく卒園卒業して、そして気持ちよく次の学校に入学できることを目指しましょう。

■新しい学校に相談しよう

地域や学校によりますが、幼(保)小連携、小中連携、中高連携の行事や会議を、多くの地域学校で行っています。不登校傾向の子の情報は、上の学校に行っていることも多いでしょう。

これは、決して悪い情報を流しているわけではありません。子どもの幸せのためです。卒園卒業させる先生方は、子どものことを心配しています。何とか次の学校で上手くいくように願っています。そのための、情報共有を行っています。

たとえば、中学校での欠席日数の情報は、高校入試の段階で高校へ行きます。推薦入試の場合などは、合否判定の一部に使われることもあるでしょうが、入学が決まった後は、生徒を支援するための大切な情報になるでしょう。

ちなみに、「不登校」「不登校傾向」となっていなくても、前年度10日以上の欠席がある場合には、不登校に進まないように見守る必要があるとする、教育心理学の研究もあります。

学校間の連携はあるとはいえ、必要な情報すべてが次の学校に行っているわけではありません。また、保護者の気持ちが十分に伝わっているとも限りません。

不登校傾向であれ、その他の問題であれ、ぜひ入学する学校に相談しましょう。全体で行われる入学説明会の後に、個別相談の時間を取っている学校もあります。それ以外の日程でも、学校は入学予定保護者からの相談は歓迎します。

まだ担任はわかりませんが、教頭先生等が対応してくださると思います。決して、モンスターペアレントとか、面倒な親だとかは思いません。むしろ、ありがたい親です。良い意味で熱心な親だと思ってもくれるでしょう。

私は、中学校のスクールカウンセラーをしていますが、小学生の子どもや保護者とも面談します。中学校の先生との仲介役をすることもあります。

ご心配なことがあれば、ぜひご相談ください。

「ダメ元」で、要望も言ってみてください。もちろん、何でもない親が入学予定学校に来ていろいろ要望を言ってもダメでしょう。しかし、不登校(登園しぶり、登校しぶり)等の問題が起きているなら、話は別です。

ぜひご心配なことや、ご要望を話してみてください。ただし、要望がすべて通る訳ではありません。要望が通らなく、ダメで元々の気持ちで、お伝えいただけると良いと思います。

例えば、クラス編成はこれから様々なことを考えて決めていきます。一人の子どもの都合だけでは決められません。しかし、困っている親子からの要望であれば、配慮はしてもらえるでしょう。入学式直前ではもう変更できなませんが。

より良い学校生活スタートのために、入学前の今の時期から、様々な準備をしましょう。

■新しい学校に入るということ

どの子どもにとっても、不安はあります。学校が変われば、学校の文化もスタイルも違います。慣れ親しんだ友達や先生と離れることは大変です。小学生が中学生になる大変さを示す「中一ギャップ」などという言葉もあるほどです。

多くの子どもたちは、そのギャップを乗り越えていきます。ただ、特別な支援を必要としている子もいるでしょう。大人たちの少しの支援で、大きな問題を予防できるかもしれません。

下の学校で大変だったのに、進学先の学校では全く問題がないこともあります。それならそれで、大変結構です。でも、やっぱり問題が起きることもあります。それでも、進学先の学校でより良い準備があれば、問題解決はきっとできるでしょう。

新しい学校は、すべての新入生たちを歓迎する気持ちで待っています。どうぞ、学校教職員をご活用いただければと思います。

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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