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小さなことにくよくよする人の特徴と対策

横山信弘経営コラムニスト

小さなことにくよくよする思考を考える

感情のコントロールができない人の特徴と対策やる気が出ない人の特徴と対策、に続く第3弾です。今回は小さなことにくよくよする人の特徴と対策について考えていきます。

小さなことにくよくよするというのは、何らかの失敗体験をいつまでも思い悩んでいる状態を言います。その失敗体験は小さなことだとわかっているのにもかかわらず、いつまでも気にし過ぎてしまう、ということでしょう。たとえば、自分のミスでお客様に迷惑をかけてクレームになった、とか。自分の発言で誰か大切な人を傷つけてしまった、とか。周りは気にしなくてもいいよ、と言っているのに、「そうは言っても……」とくよくよしてしまうのです。

小さなことでくよくよしているときは、頭の中で過去の失敗体験や、それによって引き起こされるであろう嫌な未来を、無意識のうちに頭の中で思い描いてしまいます。できればイメージしたくない体験が頭の中で乱反射しているのです。正しい判断をするとき、論理的に物事を処理しようとするときには、脳のワーキングメモリーを活用します。しかし、頭の中で羽音を立てる「ハエ」がずっと飛んでいるなら、正常な処理ができません。一刻もはやくこの「ハエ」を取り除きたいですよね。

「外的体験」と「内的体験」

私はよくセミナーで2種類の「体験」について話します。体験は大きく分けると、2つの種類があることを覚えておきましょう。「外的体験」と「内的体験」です。

●「外的体験」……現時点で起きている実際の体験のこと

●「内的体験」……想像やイメージ、頭の中での体験のこと

たとえば読書に集中しているときでも、いつの間にか他事を考えたりしたことはありませんか。5ページぐらい読んだはずなのに、後半の2ページほどは記憶にない。別のことが頭にあったからです。電車の中で音楽を聴いていたはずなのに、目の前に座っている人が気になって音楽に意識を向けられない、ということもあります。これらはすべて「内的体験」をしているせいです。続いて、くよくよする人の頭はどうなっているか。そのメカニズムを解説します。

●嫌な「内的体験」が頭の中で無限ループしている

●無限ループは脳の思考プログラムが引き起こしている

●脳の思考プログラムは過去の体験の「インパクト×回数」でできている

要するに、頭の中で嫌な「内的体験」が堂々巡りしているため、ネガティブな思考プログラムがさらに強固になっていきます。そのため何かあるたびにプログラムが作動し、同じ「内的体験」が延々と続いていくことになります。

「内的体験」の中身を決して人に言わない

小さなことにくよくよするのは、脳のワーキングメモリーが強いか弱いかにも関わってくるようです。何らかの心構えで、すぐに無限ループがなくなることはないでしょう。ただ悪化することを防ぐことはできます。簡単な対策としては、とにかく人に言わないことです。

自分がくよくよしていることを他人に言うということは、そのたびごとに過去を思い返して「内的体験」を増やすことになります。追体験(フラッシュバック)することになるのです。当然、ネガティブな思考プログラムが強固になる原因となることでしょう。また、最悪の場合、別の種類の「内的体験」を増やしてしまうこともあります。「大きなことでくよくよくしている」のならともかく、「小さなことでくよくよしている」のですから、ほとんどのケースで、他人に言っても共感を得られません。

「そんなことで悩まないでよ。それぐらいのことなら、私なんか毎日のようにあるよ」

「おいおい、それで最近、落ち込んでたの? 冗談じゃない。そんなこと誰だってあるだろ」

「気にしない。気にしない。時間が解決してくれるさ」

……などと、一笑されるか、適当にあしらわれるかの、どちらかです。しかしたとえ小さなことであっても、本人の頭の中では堂々巡りをしています。正常な価値判断ができません。ですからそのように軽んじられると、その体験自体にくよくよするようになってしまいます。

「どうしてあの人に相談したんだろう。相談した私がバカだった」

「どうせ私の悩みなんて誰も理解してくれない。私は一人ぼっちだ」

「別に慰めてほしいなんて思っていない。聞いてくれればいいだけなのに、なんであんな風に言われなくちゃいけないのか。すごく悔しい……」

頭の中で飛んでいる「ハエ」が二匹に増えるのです。絶対に避けたいですね。

小さなことでくよくよしているときの特効薬はありません。頭の中の思考プログラムを作動するキッカケを減らすことが第一です。今さらどうにも解決できないなら、その「内的体験」をしないような工夫が必要です。何か別の事柄に夢中になる、一所懸命体を動かすなど、他に意識を向けるようにしましょう。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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