どうして「できる人」は、いとも簡単に自分の殻を破ることができるのか?
仕事が「できない人」の口癖・習慣とは?
仕事が「できる人」は、結果から逆算して行動しています。私はこれを「逆算思考」と呼んでいます。「逆算思考」を持っている人は、時間が未来から流れているように感じていて、期限から逆算して現時点で何をすべきか、考える習慣があるのです。
結果を出せるかどうかはわからないが自分のやれる範囲で努力しようと考える人は、一見、頑張っているように見えます。しかし安定した結果を残すことができません。そして何よりストレスを抱えてしまいがちです。時間が過去から現在へ、そして現在から未来に向かって流れていると感じているからです。
「自分の過去の延長線上に未来がある」という思考で仕事をしていれば、過去の経験や知識にとらわれることになります。そうすると思い切った行動ができません。失敗を恐れることになり、チャレンジ精神も湧き立たないのです。ですから、マジメなのですが「できない人」「結果を出せない人」の口ぐせは、だいたい以下の3種類になります。
「できる範囲でやってみます」
「今やれることをやってみます」
「自分なりにやってみます」
こういう口ぐせの人は、努力して行動を起こすのですが、結果が出ないと、
「私はできる範囲ではやりました」
「やれるだけのことはやりました」
「自分なりにやりました」
という言い訳をついついしてしまうのです。
「できない人」は、自分にミッションが与えられると、自分の過去の体験や知識と照らし合わせ、それを本当に遂行できるかどうかを吟味し、難易度が高いのであれば、やることはやるけれども「できる範囲でやる」という注釈を無意識のうちにつけてしまいます。
仕事が「できる人」は、脳の使い方が違う
人間の脳が処理するデータの格納場所は3種類あります。「短期記憶」「長期記憶」「外部記憶」の3つです。「短期記憶」とは「ワーキングメモリ」のことです。情報を処理するために常に格納しておく作業記憶装置。いつも脳が処理するデータは、一番アクセススピードの速い「ワーキングメモリ」にデータが入っています。
「長期記憶」は、長い歳月をかけて蓄積してきた知識の脳の図書館のようなものです。脳の「長期記憶」にデータが格納されていると、ええーっと……と能動的に思い出そうとしなければ、データを抽出できません。
「外部記憶」とは、人間の脳の外にある記憶装置。資料やシステムのデータベース上に存在します。何かを考えるとき、ええーっと……と言いながら、脳の「長期記憶」にアクセスするのですが、そこにデータがない場合、誰かデータを持ってそうな人に相談するか、何らかの行動を起こし、調査することになります。
「できる人」は、過去にとらわれることがありません。まず自分に与えられたミッションをどうすれば完遂するのかを考えます。つまり脳の「長期記憶」にアクセスします。これが第一ステップ。自分の過去の体験や知識と照らし合わせ、難易度が高くても、それをどのようにカバーすれば達成するかを考え、仮説を立てます。自分が立てた仮説が正しいかどうかわからない場合は、「外部記憶」をあてにします。前述したように、よくわかっている人に相談するか、何らかの行動を起こし、正しい情報を得て自分の仮説を修正していきます。これが第二ステップです。
ですから「できる人」は、過去の経験によって創られた「自分の殻」をいとも簡単に破ることができるのです。そして自然と周囲の人とのコミュニケーションも増え、協力者が周りに集まります。「自分なりに考えた」「自分のできる範囲ではやった」という言い訳をすることもありません。