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不言実行で印象をよくする「サードインプレッション戦略」

横山信弘経営コラムニスト
「見ている人は見ている」という姿勢が第三印象を良くする(写真:アフロ)

印象を良くする方法には、やはり「コミュニケーション能力」

私は営業コンサルタントです。現場に入り込んで目標の絶対達成を支援することが私の仕事です。職業柄、数多くのトップセールスと呼ばれる人たちと出会う機会があります。とはいえ、一般的な企業に入り込んでいますので、トップセールスとはいえ、普通のサラリーマンたちです。書籍を出したり、セミナーを開催するようなウルトラトップセールスではありません。どこにでもいる普通の人が、普通に結果を出すのです。共通しているのは、やはり「コミュニケーション能力」。できる人、結果を出す人はコミュニケーション能力が高いと言い切ることができます。

それでは「コミュニケーション能力」とは何でしょうか。私なりに2つ分解して紹介していきたいと思います。

● 言語コミュニケーション

● 非言語コミュニケーション

要するに、「喋り」と「喋り以外」に分解できる、ということです。「コミュニケーション能力」を「喋り方」「話し方」だけでとらえず、「言語/非言語」で分解することで、「コミュニケーション」で悩むことが格段と少なくなっていきます。その人が放つ空気感によって相手を効果的に動かすこともできるようになるからです。

「第三印象(サードインプレッション)」を良くする

「コミュニケーション能力」をアップするうえで重要なのは、その人が醸し出す「印象」「空気感」です。同じことを言っているのにもかかわらず、Aさんが言うと誰もが「イエス」と反応するのに、Bさんが言うと多くの人が「ノー」となってしまう。こういうことってありますよね。

私は、印象を「第一印象」「第二印象」「第三印象」の3種類にわけています。会って瞬間的に抱く「第一印象」、少しの時間、触れあってから抱く「第二印象」。半年から1年以上付き合ってから抱く「第三印象」の3つです。

「第三印象」は俗っぽい言葉で表現すると、「らしさ」です。

「いかにも、アイツらしいな」

「あそこで、ああいうこと言うなんて、彼女らしいよ」

あまり関係が深くないのに「あの人らしいね」みたいなことは言われません。”らしさ”というのは、「第一印象」のような表面的なもののみならず、しばらく付き合ってはじめてわかるものなのです。ですから、表面的なイメージを良くしようとしても、「第三印象」をごまかすことはできません。「らしさ」という言葉には、その人とかかわった歴史も反映しているからです。

口下手な人、話すのが苦手な人は「第三印象」を良くすることで「コミュニケーション能力」をアップできます。何より、前述したトップセールスたちは決して「喋り」が上手な人ばかりではありません。ただ「第三印象」がすごく良いのです。

「第三印象」を良くするためには、2つのことを意識すべきです。

●「プラスの行動」を増やす

●「マイナスの発言」を減らす

第一印象、第二印象を良くするために「喋り方」「話し方」「伝え方」「聞き方」等に多くの人が関心を寄せることでしょう。しかし、そう簡単に「言語コミュニケーション」は上達するものではありません。何年もの間、コミュニケーションの研修をしてきて私が出した答えです。才能も素質もありますから、訓練しても、できないものはできないのです。

しかし、話し方は変えられなくとも、行動は変えられます。つまり日常における行動習慣は、時間さえかければできるようになります。まさに「日ごろの行い」は、その人が醸し出す雰囲気、「らしさ」を正しく形成させてくれると言えます。たとえ口下手であろうが、人前だと緊張して何も言えなくなってしまう人であろうが、「あたりまえ」のことをあたりまえにやっている人。やり続けている人。結果を出そうと工夫し続けている人は、「第三印象」が良くなっていきます。

人前ではオドオドしていても、自分をうまく着飾ることができなくとも、毎朝はやく出勤する。帰宅前にデスク周りを整理整頓する。大きな声ではなくとも、誰にでも挨拶をする。仕事の期限を守る。言われたこと、自分で決めたことを先送りせずにやる。正しく上司に報告をする。わからないことは相談する……。こういった、誰もが「やろうと思えばできることなのに、なかなかできないこと」を淡々とこなしている事実、その歴史が「第三印象」を良くしていきます。

これが「プラスの行動を増やす」ということです。

「マイナスの発言を減らす」というのは、愚痴や不満などを含むネガティブ発言はもちろんのこと、自分を良く見せようとする言葉も控えるということです。要するに「アピール」です。「私ばっかりやらされてる」といった愚痴、不平不満。噂話、批判、それに「誰もやろうとしないので、私が片付けておきました」といったアピールなど、マイナス印象を与えるような言動はなるべく減らしていくのです。

もちろん、プラスの行動習慣をすべて身に着ける。マイナスになる発言・物言いを完全にやめる、ということは難しいでしょう。しかし、口下手な人、「喋らないといい人」と言われている人は、敢えて「話さないコミュニケーション」を選択してはいかがかと思います。周りに誤解されている気がするから、誤解されないようにしたい。だからついつい要らないことを喋ってしまう、という人がいます。残念ながら「第三印象」を悪くするだけです。

口下手な人ほど「第三印象」をメンテナンスすべき

人の「印象」というのは、自分自身の力で表面的なものを良く見えるようにする、という方法はあります。しかし不器用な人には向きません。うまくアピールできないのです。それよりも、

「彼女は本当に仕事がスピーディだ」

「いつも彼だけだよ、期限どおりにやることをやっているのは」

と、他人の口から自分の「印象」をアピールしてもらうことのほうが、はるかに信頼性が高く、説得力があります。伝え聞いた人は、あなたを見る目を変えます。

「言われてみれば、確かにしっかりしている」

「凄いね。なかなかできることじゃない」

と、あなたのいないところで噂してくれることでしょう。そのことを直接あなたが耳にしても、しなくても関係ありません。

「どんなにやっても、まるで評価してくれない。私を認めてくれない。だからこっちから言わないと、全然私のことを理解してもらえない」

と受け止めていて、たとえそれが事実だとしても、喋りで自分をアピールしてはいけません。アピールするなら行動でしましょう。周囲に認められていないと自分で感ずるなら、まだ行動が足りないということかもしれません。正しい行動をした期間が短すぎるのかもしれません。

「プラスの行動を増やし、マイナスの発言を減らす」

「有言不実行」は最悪。「有言実行」が一番美しいのでしょうが、口ベタの人は「不言実行」をスローガンにしてみましょう。完璧にはできなくとも、たまに自分だけの「らしさ」を意識し、第三印象を良好に保つようメンテナンスしていくことが大切だと思います。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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