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「女性活躍促進」のために、ロジカルで可愛らしい女子「ロジかわ女子」を増やす必要がある

横山信弘経営コラムニスト
ロジカルで可愛い女性を増やしていきたい(写真:アフロ)

「女性活躍促進」を妨げる日本企業の姿勢

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルティングをするのが仕事です。その傍ら、4年ほど前から細々と「女性活躍促進」の草の根運動を続けています。

年間100回以上のセミナーや講演を6年以上続け、コンスタントに年平均5000名ほどの経営者、管理者を動員してきていますが、私のセミナーに来られる方の約95%が男性です。100名いても10名も女性が来ることはありません。「ゼロ」のケースも多いですから「約90%」ではなく「約95%」という表現をいつも使っています。私だけではなく、年間100回以上のセミナーを実施する部下が2人いますが、彼らの場合も同じ。他の著名な講師仲間たちも同様に言っています。

経営者や管理者に女性の絶対数が少ない、ということもありますが、それよりも問題は他にあります。

私のセミナーに参加する管理者のほとんどが自主的参加ではなく、会社から”行かされる”人たちばかり。ということは、会社からセミナーや研修に”行かされる”管理者たちは男性ばかりで、女性がほとんどいない、ということになります。各種研修機関、シンクタンク系のセミナーも同様です。これは企画側の問題ではなく、会社の姿勢に大きな問題があるのです。

日本政府は笛を吹いていますが、会社は踊ってくれない――「笛吹けど踊らず」の状態が続いています。新聞や雑誌では、女性が活躍する企業が取り沙汰されることが増えていますが、現場感覚ではほとんど変化はありません。兆しがあるだけです。

総じて日本企業の姿勢がこのようであるなら、意識の高い女性たちは会社に頼ることなく自己投資をしていく必要があります。自分ではない”何か”に頼っている限りは、社会を変えることはできないものだからです。

「男性脳」と「女性脳」の違い

私は現場でコンサルティングする身ですから、経営者の皆さんからいろいろな相談を受けます。「男性」と「女性」の違いについても、よく質問されますが、私は研究者ではないのでいつも「わからない」と答えます。「男性」とか「女性」とかと一括りするのではなく、人それぞれ性格や思考パターンが違うので、個人に寄り添って対応すべきだとしか答えません。

つまり男性だから、女性だから、と接し方を変えたりはしないということです。ただ、これまでの草の根運動の経験からして「感覚的な意思決定」の度合いは、女性のほうが高いのではないか、という仮説を持っています。

なぜそうなるのかというと、それは「環境」が起因していると言えます。

リーセ・エリオットが率いるロザリンド・フランクリン医科学大学の研究によると、「脳の性差」は実際には存在しないという成果が2015年に発表されています。

脳の長期記憶、短期記憶に強く関わる「海馬」の大きさは、6,000件を超えるsMRI検査の結果、大きな男女差はないことを突き止めたのです。したがって、女性のほうが「感覚的」で男性のほうが「論理的」であるとは脳科学的には言えない、ということです。

しかし、現場に入っていると女性のほうが「感覚的」な判断、意思決定をしているように見えるのは、前述したように「環境」の影響が強いと言えます。通説として「女は感情で動く生き物」と世間で言われ続けたために、そのような先入観を多数の人たちが持ったせいでしょう。

「血液型性格分類」と同じで、A型は几帳面で、O型は大ざっぱ……などという通説に科学的根拠はありません。しかし、あまりに多くの人がそのように言うので「確かにそうかも」と思い込んでしまうものなのです。

なぜ今こそ女性にロジカルシンキングが必要なのか?

「思い込み」や「先入観」を打破するためには、論理的な思考能力が不可欠です。お堅い表現で恐縮ですが「問題解決能力」とか「ロジカルシンキング」と呼ばれるスキルや武器を持つことが解決へと糸口となるのです。私のこれまでの草の根運動も、女性がロジカルに考えるにはどうすればいいかがメインテーマでした。

世の中には、働く女性が集まる会が多数存在します。女性が集まって美味しい食事をし、悩みを打ち明けたり、相談したり、励まし合ったりする場が増えたことは喜ばしいことです。しかし、その目的の多くは、女性それぞれが抱える問題を「共有」することであると言えるでしょう。

私としては、世間的に「女性活躍促進」の空気はできあがっているわけですから、さらにこの空気をバージョンアップさせるために、問題の「共有」から「解決」へと推し進める必要があると思っています。

「考える」は最大10分しか続かないが、「悩む」は永遠に続けられるで記したとおり、「悩む」と「考える」は大きな違いがあります。

正しく考えることができず「悩む習慣」しかない人が、同じく「考える習慣」がない人に問題をシェアしたとしても、堂々巡りを繰り返すだけ。「話を聞いてもらえた」「私の気持ちを理解してもらえた」というのは、行き場のない感情に目的地を与えた、というだけのこと。問題そのものは解決していません。したがって、また職場に戻るとその「行き場のない感情」は蘇ってくるものです。

そこで、女性自身が問題を正しく解決するスキルや武器を持つことを私は強くお勧めします。情報を整理する、ロジカルシンキングで有名な、「ロジックツリー(ピラミッドストラクチャー)」「MECE」「空・雨・傘」「重要度―緊急度マトリックス」などの思考ツールです。たとえ問題が解決できなくても、問題をより深刻にする言動をしなくなることが最大のメリットです。

「どうすればいいかわからないけれど、この手順では問題は解決しない。まず解決策をいきなり考えるのではなく、どこに問題があるのか事象を正しくつかもうよ」

「それは意見であって、事実ではないでしょう。意見に振り回されていると感情的になるので、数値的な事実を捉えてから考え直そうか」

「それは緊急なことだけど、私にとって重要なことはもっと他にある。緊急性の高いことばかりに振り回されず、自分の生活や人生にとって何が大切なのか、それを洗い出すことが先決です」

ロジカルな思考ツールがあることで、このように頭を整理することができるようになりますす。

目指すのは「ロジかわ女子」

とはいえ、いつもいつもロジカルだと疲れます。論理で構成された人生は楽しくありません。理屈では説明できないことが起こるからこそ、人生はロマンに溢れているのです。

頭を整理し、自分の感情をコントロールするためにも、必要なときに、必要な分だけ、ロジカルに考える思考習慣があるだけでよいのです。表面的には女性的で可愛らしく、しかし中身は冷静で論理的である――ロジカルで可愛らしい「ロジかわ女子」を目指す人がもっと増えてもいいかなと思っています。

今後も草の根運動を続けていきたいと考えています。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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累計40万部を超える著書「絶対達成シリーズ」。経営者、管理者が4万人以上購読する「メルマガ草創花伝」。6年で1000回を超える講演活動など、強い発信力を誇る「絶対達成させるコンサルタント」が、時代の潮流をとらえながら、ビジネスで結果を出す戦略と思考をお伝えします。

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