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結果を出す人、出せない人を見分ける「あたりまえの基準」とは?

横山信弘経営コラムニスト
結果を出す人は、淡々とやる(写真:アフロ)

結果を出す人か、結果を出せない人か

企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルティングを続けて、もう10年以上が経過しました。実際に現場に入ると、クライアント企業の経営者から「安定して目標達成できる組織にしてくれ」と”結果”を求められます。ですから、この人は「結果を出す人」だろうか、それとも「結果を出せない人」だろうかと見分けられる力はついたと思います。

少なからず、表面的な「言葉づかい」や「表情」、「態度」などで私は惑わされなくなりました。

どんなに、

「私は変わります! 結果を出します」

と大声で叫んでも、私はその人を信用しません。「気合い」を入れないと変われないような人、時おり自分に「喝」を入れたくなるような人は、たいした結果を残せないものです。

結果を出せない人の特徴

結果を出せない人ほど「モチベーション」やら「やりがい」「働きがい」を口にします。「働く意味は何だろう」とか「自分が本当にやりたいことは何だろう」などとアレコレ考えて、本来向けなければならない意識に焦点を合わせることができません。もしもこれを知って驚く人がいるとしたら、あなたの周りに、正しく「結果を出す人」が存在しないからでしょう。繰り返しますが、結果を出す人ほどゴチャゴチャ考えないのです。

当社の採用面接を例にして考えてみます。

私は採用面接のとき、面接に来た人が当社のことをどれぐらい調べてきたかに関心を向けます。もしも募集要項しか目にしていなかったり、ホームページを見た程度で面接に来たと判明したら、残念ながら不合格です。なぜなら、その人の「あたりまえの基準」が低いからです。

最近のことです。当社はアシスタントを募集しました。約13名の方(全員女性)と採用面接が実施されたのですが、最終面接まで残り、私と面談できたのは、たった一人。その方は13名の中で誰よりも若く、24歳。社会に出てまだ1年9ヶ月の方でしたが、面接に関わった当社社員の全員から「合格」をもらいました。その採用基準こそが「あたりまえの基準」だったのです。

この24歳の方は、当社の面接を受ける前、社長である私が本を出していること、コラムを執筆をしていることを知り、すぐさま本を購入しています。なぜわかるかというと、志望動機の欄に、「達成意欲の高い空気の中で働きたい」「モットーは逆算思考で行動すること」など、私の本を読んでなければ書けない独特の表現があったからです。

私が実際に面接に臨むと、

「私はずっとやりたいことが見つからず、これでいいのだろうかと悩んできましたが、横山さんのコラムを読んで救われました。今やりたいことが見つからなくてもいいんだ。目の前のことを一所懸命にやる、川下りの人生でいいとわかったからです」

……このように言ってくれました。「キャリアアンカー論」と「プランドハプスタンス論」を「山登り」「川下り」という独特の表現で記した私のコラムがあり、それを読んだうえで面接に臨んできたのです。少し前に書いたこのコラムを読んだということは、それ以外のコラムも読んで事前準備してきたのは明白であり、この方の「あたりまえの基準」の高さがわかります。

つまり、

この24歳の方にとっては、自分が志望する会社に入るには、その会社の仕事内容や、経営者の考え方などを事前に調べつくすことは「あたりまえ」であり、それをするための「理由」など要らないのです。

他の12名の方は、もっと社会経験があるはずですが、当社に入社したいという強い希望を面接のときに訴えることはあっても、誰ひとり横山の本やコラムを事前に目を通した人はいませんでした。おそらく「社長の本を読んで」と言われたら、全員が「読みます」と答えてくださったでしょうが、そういうことではないのです。

「あたりまえのこと」というのは、誰かから言われてはじめやることではないのです。意識しないとできないことでもありません。ましてや、モチベーションを上げないとやれないことでもないし、自分にメリットがあるならやるとか、そういうものでは決してないのです。

採用面接で唯一合格となった24歳の方は、当社のみならず、他の会社も受けていたはずです。おそらく面接に臨む前は、どこを受けようが念入りに準備をされていたでしょう。そして、それを面倒だとか、ストレスだとかは感じなかったはずです。なぜなら、自分がこれから入社するかもしれない会社を事前にしっかり調べることは「あたりまえ」だと思っているからです。

「あたりまえの基準」を上げるために

自分の「あたりまえの基準」は、本人では意識しようがありません。なぜなら、無意識のうちにやっていることだからです。自分自身の「あたりまえの基準」が高いか低いかは、なかなか気付けないことです。

気付くためには、付き合う人を変えること。そして、できればハッキリとそのことを指摘してくれる人とお付き合いをすることです。

私は昨今、年に2~3冊のペースでビジネス書を出版しています。そのおかげで、いろいろな出版社の編集担当とお会いする機会があります。そんななか、あるときベストセラー作家にこのような指摘をされました。

「横山さん、編集者と会うとき、その人が編集した過去の本を読んでる? 私は、代表作のみならず、ほとんど読んでから会うようにしている。それが編集者に対する礼儀だよ」

これを聞いて驚きました。正直なところ、「そこまでするか?」が私の抱いた感想です。編集の方はありがたいことに、私のような者に対して「先生」とか言ってくれますし、どちらかというと、編集者のほうが著者である私の本を読んでから会うようにされますから、「確かにそのほうがいいかもしれないが、そこまでしなくてもいいのでは?」と思えてしまったのです。

しかし、ベストセラー作家は違います。この編集者と一緒に本作りをするかどうかはわからなくても、会う前にそれぐらいするのが礼儀であり、マナーだ。というか、それが「あたりまえ」だ、と感じているのです。だからベストセラー作家は、ベストセラー作家であり続けるのです。

私が定義する「あたりまえの基準」とは、このように、

「そのほうがいいかもしれないが、そこまでしなくてもいいのでは?」

を、目安に考えましょう。

お客様とお会いするとき、大きな声で明るく元気に挨拶する。それはあたりまえか? そこまでしなくていいと思っていないか?

上司から指摘されたことでわからないことがあったらすぐさま質問する。それはあたりまえか? そこまでしなくていいと思っていないか?

自己鍛錬のために、直接仕事に関係ない本でも絶えず読むようにしている。それはあたりまえか? そこまでしなくていいと思っていないか?

会社から託された目標があれば、それを絶対達成するために行動を変える。それはあたりまえか? そこまでしなくていいと思っていないか?

こうするのは普通であり、常識であり、あたりまえだが、ここまですることはないだろう……。いや、本当にそうだろうか? 自分に甘えているだけではないだろうか?日ごろ「あたりまえ」だと受け止めていることに絶えず疑問を持つ。その習慣がある人が「結果を出す人」です。

「あたりまえの基準」が高ければ、スキルなど、いつでも手に入ります。動機付けなど関係なく行動を継続できます。能力は開花していくのです。自分よりもはるかに「あたりまえの基準」が高い人とたまに接して、ご自身の基準をメンテナンスしていきましょう。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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累計40万部を超える著書「絶対達成シリーズ」。経営者、管理者が4万人以上購読する「メルマガ草創花伝」。6年で1000回を超える講演活動など、強い発信力を誇る「絶対達成させるコンサルタント」が、時代の潮流をとらえながら、ビジネスで結果を出す戦略と思考をお伝えします。

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