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オバマ氏長女に大麻吸引疑惑も擁護論が圧倒

猪瀬聖ジャーナリスト/翻訳家
(写真:ロイター/アフロ)

オバマ米大統領の長女、マリアさん(18)がロック・フェスティバルの会場で、大麻らしきものを吸っている動画がインターネット上に流出、物議を醸している。ただ、ネット上では、マリアさんを擁護する声が圧倒。図らずも、世論が大麻容認に大きく傾いていている米社会の現状を示すエピソードとなっている。

動画がネット上に拡散

今月10日に最初に動画を流したゴシップサイトのレーダー・オンラインが、投稿した人物の話として伝えたところによると、撮影したのは7月31日。場所は、シカゴ市内の公園で開かれていた、有名な野外フェスティバルの観客席だった。

動画を見ると、一瞬だが、左手の人差し指と中指の間に挟んだ白くて細い手製の紙巻きたばこのようなものを口にするマリアさんの横顔を、カメラが捉えている。

投稿者は、「彼女は私から数フィート(1フィートは約30センチ)のところにいて、臭いでそれが大麻だとわかった」とレーダー・オンラインに証言。また、「彼女の隣にいた若い男性が、そのタバコ状のものを彼女に手渡し、彼女は少なくとも1回それを口にし、彼に返した」と詳述し、「彼女の背後にはずっとシークレット・サービスがついていたが、彼女がそれを吸っていたのをシークレット・サービスが見ていたかどうかはわからない」とも語っている。

現役大統領の娘、しかも名門ハーバード大学への入学が決まっている才媛の“スキャンダル”とあって、映像はあっという間にネット上に拡散。さらには、ニューヨーク・ポストなど大衆紙が相次いで取り上げたほか、海外のメディアも競うように報じた。

ところが、このニュースに対する米国民の反応は、少なくともネットを見る限り、マリアさんに同情的なものが圧倒的だ。

ツイッター上では、「マリア・オバマがタバコを吸おうが大麻を吸おうが、どうでもいいこと。ティーンエイジャーらしくさせてあげようよ」「まだティーンエイジャーなんだから、メディアはそっとしておいてあげるべき」「僕は共和党支持者でオバマ大統領は嫌いだけど、マリア・オバマが何をしようが関係ない。彼女には青春を楽しんで欲しい」など、ほとんど擁護論一色だ。

サンフランシスコ地域の主要紙サンフランシスコ・クロニクルのオンライン版は、「ソーシャル・メディアは、マリア・オバマの行動を容認する声が圧倒的」と報道。オバマ大統領に批判的な保守系の政治ブログ、レッドステートさえも、「マリア・オバマは大統領の娘であるがゆえに、常に監視され、普通のティーンエイジャーのような暮らしができない」と同情論を展開した。

大麻解禁の流れを映す

大麻吸引疑惑のマリアさんを擁護する論調が圧倒的なのは、米世論が大麻解禁に大きく傾いているためだ。米国では今、18歳以上の成人に対し、タバコと同じように大麻の所持、使用を認める州法が、各地で次々と成立している(Yahoo!ニュース個人「米国、大麻がタバコを逆転へ」)。逆の見方をすれば、今回の件で明らかになったように、大麻に寛容な国民が多いからこそ、大麻の合法化が進んでいるとも言える。

奇しくも、シカゴのあるイリノイ州では、今回の動画が撮影された日のわずか2日前の7月29日、10グラム以下の大麻の所持は刑事責任を問わないとする法案に知事が署名し、ただちに発効した。

ジャーナリスト/翻訳家

米コロンビア大学大学院(ジャーナリズムスクール)修士課程修了。日本経済新聞生活情報部記者、同ロサンゼルス支局長などを経て、独立。食の安全、環境問題、マイノリティー、米国の社会問題、働き方を中心に幅広く取材。著書に『アメリカ人はなぜ肥るのか』(日経プレミアシリーズ、韓国語版も出版)、『仕事ができる人はなぜワインにはまるのか』(幻冬舎新書)など。

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