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スポーツに純血主義を求めた韓国がなりふり構わず帰化政策に乗り出したワケ~アイスホッケーの場合~

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
アイスホッケー男子韓国代表(写真:アフロスポーツ)

当ニュースサイトに、S-KOREA編集長の慎武宏氏が、昨日寄稿されました「スポーツに純血主義を求めた韓国がなりふり構わず帰化政策に乗り出したワケ」を、興味深く拝読致しました。

僭越ながら、アイスホッケーメディアとして、一点だけ補足をさせていただきます。

だが、アイスホッケーやバイアスロンといった競技では特別帰化が次々と容認されている。このままでは開催国の威厳が保てないという心理が働いているためだろうが、その量産には賛否両論もあるようだ。

との記述がありましたが、男子アイスホッケーに関しては、私のニュースサイトに掲載した「アジアリーグアイスホッケー今日開幕!」の中で紹介したとおり、

ピョンチャンオリンピック開催が決まった2011年7月時点で、韓国の世界ランキングは「31位」。オリンピックに出場するのは12ヶ国とあって、国際アイスホッケー連盟は、「開催国出場権を与えるか否かは、追って決定する」と通達したのです。

という事情が発端となり、パク ・カプチョル前韓国アイスホッケー協会会長チョン・モンウォン現会長が、韓国人代表候補選手の海外チーム長期派遣などともに、強化策の一つとして「優秀な人材に対する特別帰化制度」を用いました。

「量産に関する賛否両論」はあるかもしれませんが、ピョンチャンで白星を手にする! という悲願達成以前に、「開催国なのに出場できない」との可能性もあり得たために、韓国協会が講じた策の一つです。

このような事情ですので、槇氏が記された「開催国の威厳」の真意を、「一つの白星も手にできない」、「惨敗ばかり」と受け取られませんよう、スポーツファンの方はもちろん、一般の皆さまも、どうかご承知の上で、アジアのアイスホッケーをお楽しみいただければ幸いです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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