今季最初のNHLスリースターの顔ぶれを見ると、日本人NHLプレーヤーの出現も夢ではないかもしれない
NHLでは、全ての試合で、ファーストスター、セカンドスター、サードスターを活躍度に応じて選び、試合後に発表しています。
さらにNHLは、リーグの全ての試合を対象に、「週間スリースター」と「月間スリースター」も選出していますが、昨日(現地時間)開幕週(12日~16日)のスリースターが決まりました。
ファーストスターは、NHL史上最年少のキャプテンに就任したプレッシャーを感じさせず、3試合で3ゴール3アシストを記録した、
コナー・マクデイビッド(エドモントン オイラーズ・FW)
セカンドスターは、NHL創設100年目で初めての快挙となるデビュー戦での4得点が際立った、
オーストン・マトュース(トロント メイプルリーフス・FW)
そしてサードスターは、2試合続けて相手チームを1点に抑えて、連勝スタートの立役者となった、
ロベルト・ルオンゴ(フロリダパンサーズ・GK)の各選手です。
▼スリースターの顔ぶれはNHLの縮図
今季最初のスリースターの顔ぶれを見ると、近年のNHLを表している縮図だと言えそうです。
まず、サードスターに選出されたルオンゴは「37歳」
他のスポーツと同様に、NHLでもトレーニングやコンディショニングの研究が進み、40歳近くになってもチームの主力として活躍する選手が、珍しくなくなってきました。
なかには、ルオンゴのチームメイトのヤロミール・ヤーガのように、運動量も求められるFW(ウイング)プレーヤーながら、「44歳」になっても、チーム最多ポイントをマークしている選手もいるほどです。
その表れとして、レギュラーシーズン開幕時のロースターを比較してみると、
35歳以上のプレーヤーが、2012年の「30人」から、今季は「41人」に増えています。
▼オヤジ世代だけでなく、ティーンエイジャーも台頭
一方で、マクデイビッドやマトュースのように、ティーンエイジャーの台頭も際立っています。
この要因として考えられるのは、NHLのルールの変遷です。
2000年代前半までのNHLでは、各チームがサイズの大きい選手を揃えて、パワフルなプレーが主流でした。
その代表的なプレーヤーが、エリック・リンドロス(元フィラデルフィア フライヤーズ FW)
テクニックにも長けていたのはもちろんですが、何と言っても魅力は、身長194cm 体重109kg という超大型FWだったこと。
それだけに、NHL歴代最多ゴール、最多アシスト、最多ポイント記録を持つ、ウェイン・グレツキーが「ザ・グレイトワン」と呼ばれていたのに対し、リンドロスは「ネクストワン」と称されていたほどです。
▼パワーからスピードへ
しかし、NHLの流れは変わっていきます。
リンドロス自身も悩まされた脳震とうを発症する選手が増えたこともあって、NHLはスティックを使うプレーに対するペナルティの基準を厳格にしました。
それによって、スピードを武器に頭角を現す選手が増え、2000年代前半まで見られた「デカイだけでロースターに入れる」という選手は、生き残るのが難しくなり、逆にスピードをウリにする若手選手が次々に台頭!
ここで再びレギュラーシーズン開幕時のロースターを比較すると、
24歳以下のプレーヤーは、2012年の「105人」から、今季は「174人」まで増えています。
▼日本人NHLプレーヤーの出現も夢ではない!?
このような流れを受けて、サイズに恵まれない選手が、NHLでも活躍の場を見出し始めてきました。
その筆頭が、ネイサン・ガービー(29歳・前カロライナ ハリケーンズ)!
今季はニューヨーク レンジャーズのキャンプに参加したものの契約に至らず、スイスのクラブチームでプレーをしていますが、昨季までNHLで8季にわたり、通算394試合に出場して138ポイント(58ゴール80アシスト)をマークしたFW。
そんなガービーの身長は、、、「165cm」(中央の#42)
ちなみに、#57の選手は身長203cmで、40cm近い身長差があるような選手とも、ガービーは同じ氷の上で戦い続けているのです。
コンタクトのあるスポーツだけに、長らく日本のアイスホッケー界では、「サイズやパワーの差で世界のトップクラスには手が届かない」との声も聞かれます。
実際に、NHLでプレーしたのは、GKの福藤豊(ロサンゼルスキングス)ただ一人。
プレーヤー(FW&DF)では、長野オリンピック日本代表の三浦浩幸が、モントリオール カナディアンズにドラフト指名されたものの、デビューを飾ることはできませんでした。
しかし、身長165cmの選手も、NHLのチームでレギュラーポジションを勝ち取った事実を目の当たりにすれば、
「日本人NHLプレーヤーの出現も夢ではない」
という期待が抱けるかもしれません。