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大谷投手の二刀流実現に追い風!MLBの出場枠が拡大へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
選手会との間で新統一労働規約妥結で交渉を続けるマンフレッド・コミッショナー(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

侍ジャパン強化試合での大活躍を経て、米国でもすっかり注目を集めている大谷翔平投手。それに伴い、MLBでの二刀流の可能性についても様々な意見が飛び交っているが、ここに来て二刀流実現に向け追い風となるニュースが飛び込んできた。

FOXニュースのケン・ローゼンサル記者が11月17日、12月1日に失効する現在の統一労働規約(Collective Bargaining Agreement:通称CBA)に代わる新規約の交渉の中で、登録枠の拡大が話し合われていると報じたのだ。ローゼンサル氏といえばこれまで数々のスクープをものにしてきた敏腕記者として有名で、数々の情報源を持っており、今回もいうまでもなく信憑性の高い記事だ。

この記事によれば、新しい規約では登録枠を現在の25人から26人に増やす一方で、9月1日から実施されている枠拡大措置(40人枠内の選手なら何人でも昇格されることができる)を28人に制限するというもので、MLB機構側、選手会で調整が続いているようだ。もしその方向で新規約が合意に達すれば、2017年シーズンから適用されることになるのだ。

26人枠になることで何が起こるか?もちろんチーム事情によって余剰人員を投手にするか野手にするかは変わってくるが、さらに1人先発投手を加えることで、先発6人制が可能になってくるのだ。

これまでMLBでは先発5人制が一般的で、各投手は中4日もしくは中5日でローテーションを回さなければならなかった。これだと登板の合間はそのほとんどを投手としての準備、調整に充てなければならず、大谷選手が野手としての出場機会を捻出するのは難しいとされてきた。しかし先発6人制になれば、登板間隔が中5日か中6日になるので、現在の日本ハムの環境に近く、野手としての出場機会も十分に期待できるのだ。

つい先日「大谷選手がMLBでも二刀流ができると確信する理由」という記事を公開したが、大谷投手が投手と野手の2人いると考え、25人でも先発6人制を使えば二刀流ができると論じたが、これだと否応なしに大谷投手の負担は大きくなってしまう。まさに26人への枠拡大は、二刀流としての大谷選手を迎え入れるための措置といっても過言ではないだろう。

いずれにせよ新規約の交渉は大詰めを迎えている最中だ。吉報が届くのを待つしかない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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