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台風12号の風は弱くなり、熱帯低気圧に変わっても雨には警戒

饒村曜気象予報士
大雨イメージ(写真:アフロ)

台風12号が9月5日1時すぎに長崎市付近に上陸しました。

今年5個目の上陸です。

台風が5個以上も上陸したのは12年ぶりとなりますが、今年の台風シーズンはまだまだ続きます。

風が危険だった台風

台風12号は、ごく小さいわりには中心気圧が低くて風が危険な台風でしたが、九州西岸沖を北上中に中心気圧が高くなり、極端な風の心配がなくなっての上陸でした。

小さな台風は、上陸後、すぐに中心気圧が高くなって最大風速も小さくなる傾向があるのですが、台風12号も同じでした。

そして、上陸後も北東進を続けて日本海に入り、山陰沖で中心付近の最大風速が、毎秒17.2メートル未満になって熱帯低気圧に変わる見込みです。

しかし、熱帯低気圧になるにしても、気象庁の情報は「熱帯低気圧に変わる」であり、「熱帯低気圧に衰えた」ではありません。

雨による危険が残っているからです。

雨に引き続き警戒

台風12号は、強い雨雲を伴っていますし、台風の東側では、台風周囲の風によって南海上から暖かくて湿った空気が流れ込んで、大気の状態が不安定となり、所々で積乱雲が発達しています。

台風の動きが遅いため、この状態がしばらく続きます。

このため、東海地方から西の地方では、熱帯低気圧に変わったあとも含めて、雨に警戒が必要です。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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