空気が半分になる高さが約5キロメートル、そこに氷点下42度
日本上空には「上空約5キロメートルで氷点下36度以下」という、今冬一番の寒気が南下しています(図1)。
そして、今週末は西高東低の気圧配置のなかで大学入試センター試験が行われます。
大学入試センター試験が行われる土曜日(14日9時)には、大雪の目安とされる「上空約5キロメートルで氷点下42度以下」の、さらに冷たい寒気が新潟県付近まで南下する見込みです(図2)。
このように、気象情報では、寒気を表現するのに、「上空約5キロメートルの高さの気温」を使います。
気象情報でよく使う上空約5キロ
天気予報などを行うときは、上空の天気図を何枚も使って立体的に天気を考えますが、そのときに用いる高層天気図は、高さが一定の等高度面天気図ではなく、気圧が一定の等気圧面天気図を用いています。
等高度面天気図で気温が下がっても、寒気が入っている場合だけでなく、気圧が低くなる場合も含まれています。
しかし、等気圧面天気図で気温が下がった場合は、寒気が入っています。
このため、5キロメートルの高さにおける高層天気図ではなく、500ヘクトパスカルになる高さにおける高層天気図が使われているのです。
地上気圧は、高気圧や低気圧がありますが、ほとんど980ヘクトパスカルと1020パスカルの間にあり、おおよそ1000ヘクトパスカルです。
そして、上空にゆくほど気圧が低くなり、500ヘクトパスカルの高さは、大気が半分になる高さ、大気の中間の高さということになります。
このため、500ヘクトパスカルの高層天気図は、大気全体の動きや温度変化を見るのに適していることから、よく使われ、気象情報にも、この高層天気図の温度が使われます。
ただ、「気圧が500ヘクトパスカルになる高さ」では、一般的にはわかりづらいので、気象情報では「上空約5キロメートル」と言い換えているだけです。
5キロ上がるごとに空気半分
大気は多少の差があるのですが、標準大気と呼ばれているものは、表のように、おおよそ、5キロメートルごとに半分になっています。
地球の直径は1万2742キロメートルですが、この1パーセント以下の10キロメートルで、大気は8分の1になっています。つまり、地球の大気は、地表近くの非常に薄い層です。
この非常に薄い層のなかで様々な大気現象がおき、その中で、私たちが生活しています。
そして、受験生は様々な大気現象の中で、同じ試験問題に取り組みます。