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レスリー・ジョーンズにさらなる嫌がらせ。ヌード写真、個人情報がネットに流出

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:REX FEATURES/アフロ)

「ゴーストバスターズ」のレスリー・ジョーンズに対する嫌がらせが、最悪の形で再燃した。

アメリカ時間24日(水)、ジョーンズのウェブサイトJustLeslie.comに、突然、彼女のヌード写真や、パスポートと運転免許証の写真、電話番号、ツイッターのパスワードなど個人情報が現れたのである。そこにはまた、ゴリラのYouTubeビデオも投稿されていた。これを受けて、現在、ウェブサイトは取り下げられている。ハッカーは、ジョーンズのTumblrのアカウントに勝手に入り込んだ上、iCloudに保存してある写真を入手したようだ。

犯人からのメッセージはなく、動機は明らかではないが、過去にジョーンズに対する人種差別、性差別のツイートを数多く投稿したせいで、先月ツイートから追放されたミロ・ヤンノポーロスのフォロワーではないかと推測されている。(http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20160723-00060283/)当時、ヤンノポーロスの3万人のフォロワーたちは、「#FreeMilo」のハッシュタグをつけたメッセージで、ツイッターに抗議運動を起こしている。ヤンノポーロスはまた、過去に、ジョーンズに対する嫌がらせ投稿の中で、同じゴリラの写真を使用していた。ヤンノポーロスは、「The Hollywood Reporter」を通じ、「レスリー・ジョーンズがハッキングの被害に遭い、ヌード写真がオンラインで公開されたと聞いて、悲しく思っています。『ゴーストバスターズ』について私たちの意見が合わなかったのは事実ですが、この大変辛い状況を、乗り越えてくださることを願っています」という声明を発表している。

80年代の人気映画「ゴーストバスターズ」を女性キャスト4人でリブートするという企画が発表された時から、アメリカの一部の人の間では、反感の声が上がっていた。4人の中で唯一の黒人であるジョーンズは、ツイッターで積極的にPRしてきたこともあってか、公開が近づくにつれ、人種差別や性差別に満ちた個人攻撃をますます受けるようになっている (http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20160720-00060158/) 。最初は強く立ち向かっていたジョーンズも、ある時点でついに意気消沈し、「ツイッターを去ることにします」と宣言した。その直後、ツイッターのCEOジャック・ドーシーが自ら対応に出向き、ヤンノポーロスを含むいくつかのアカウントを閉鎖。ジョーンズはその経験をテレビのトーク番組で話し、またツイッターの愛用者に戻った。

それですべてが解決したどころか、むしろ、良くなったかのようにも見えていたのだ。

オリンピックに夢中のジョーンズが、アメリカ選手を応援するビデオやコメントをひっきりなしに投稿するのを見て、アメリカ放映権をもつNBCのエクゼクティブプロデューサー、ジム・ベルは、彼女に、「君をリオに正式に招待しましょう。来たい?」とツイートし、実際にジョーンズはリオに飛ぶことになったのである(ジョーンズは、NBCの看板番組『サタデー・ナイト・ライブ』にレギュラー出演している。)ジョーンズは、その間1,704個のツイートをし、フォロワーの数は、約20万人から55万人へと、倍以上増えることになった。そこへきて、この仕打ちである。犯人は、こうやってジョーンズがますます人気と集めていくことが、おもしろくなかったのだろうか。

このハッキング事件に関し、ジョーンズは、まだ何も発言していない。しかし、多くのセレブリティは、怒りを表明している。

彼女に嫌がらせをする人たちに、以前から強く抗議をしてきた「ゴーストバスターズ」のポール・フェイグ監督は、誰よりも早く、「レスリー・ジョーンズに向けて行われていることは、非道きわまりないことだ」とツイート。ガボレイ・シディベは「どうしてレスリーを嫌う人がいるのか、本当に理解できない。なぜ?彼女は才能豊かで素敵な人よ。どうしてそんなひどいことをしたいと思うの?」と疑問を投げかけた。パトリシア・アークウェットは「レスリー・ジョーンズのも含め、盗まれた個人的な写真をシェアするのは違法行為です。あなたも性犯罪に加わることになります」、アリッサ・ミラノは「お願いだから、レスリー・ジョーンズの個人的な写真や情報を見ないでください。これをやったひどい人を支持するんじゃなくて、レスリーを支持してください」と、一般に呼びかけている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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