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2016年プロ野球の○と× 出来事編 超盛り上がりの日本シリーズは○、コリジョンと正力賞は×

豊浦彰太郎Baseball Writer
コリジョンルールはそもそも不要?(写真:アフロ)

2016年プロ野球の○と×、前回の「人物編」に続き「出来事編」をお届けする。一部、プロ野球以外の項目も入るが、ご了承いただきたい。

○ 広島25年ぶりリーグV、日本ハム11.5差大逆転、超盛り上がりの日本シリーズ

プロ野球が、ナショナルパスタイムでありながら、偉大なるローカルコンテンツの集合体として成熟しつつあることの証。

○ Koboスタ名実とも「公園」に

アイデア自体は特に目新しいものはなく、全てメジャーやマイナーリーグで前例のあるものだが、実行したことは素晴らしい。フォロワーが出てきて、天然芝化が促進されることを望みたい。しかし、90年代から一気に天然芝への回帰が広まったアメリカでは、すでに球場の「家族で楽しめる公園化」には懐疑的な考えも出てきていることは付け加えておこう。遊園地的遊具やBBQテラスを作ることに取り組むあまり、ベースボール自体のオーセンティクな楽しみや歓びの提供が見落とされていないか?ということだ。

○ 野球、ソフトとともに五輪に一時復帰

かりそめの復活に終わる懸念は否定できない。しかし、肝心のWBCが2017年限り?との噂もある。せっかくの侍ジャパンの盛り上がりにはとても重要だ。少なくともこれで2020年まではOKだ。

○ DeNAようやくCS

セのCSが、昔のパのように前後期の王者対決ならもう1年早かった?。今後は年俸総額のアップによる強化を望みたいが、このオフは音なしだ。

○ 巨人 FA爆買

FA市場に打って出ても食い付いてくる球団が少ないと、結局宣言自体を見合わせる選手ばかりになってしまう。このオフのショッピングリストが、全て巨人にとって適切なものかは議論の余地があるが、こういう球団がないとせっかくの制度が形骸化してしまう。巨人はNPB FA制度のセーフティネット?

× 野球とばく事件

「プロ野球は健全な興業」という神話を崩したのがX

NPBがつじつま合わせに奔走し、抜本的な改革に着手しなかったのがX

メディア業界内の暗黙の了解なのか、開幕後は報道が激減しうやむやになりつつあるのも×

× 清原覚せい剤で逮捕

このこと自体はXXXだが、「仮に」彼が執行猶予期間を全うしたら、殿堂りも含め復権を検討すべき。「球界終身刑」は避けるべき。

× コリジョンルールの迷走

そもそもNPBには必要なかった。マット・マートン(元阪神)が帰国した今、危険なスライディングを敢行する走者などいないのだから。「危険スライディング」も同様では?

× 高野連 女子マネ問題

これは一高校スポーツの運用規定のみの問題ではない。立派な性差別だと思う。

× 谷繁監督「休養」

球団は、不成績の原因が谷繁監督にあると思うならスパっと解雇すれば良い。監督は自分の責任と思うなら辞任すべき。「仕事をせず(させず)とも禄を食む」、こんな責任不在の玉虫色の処遇から、そろそろNPBは脱皮して欲しい。

× また日本一監督を選んだ正力賞

確かに今季の栗山監督のアイデアや起用は斬新だった。でも、そうでなくても日本一になっていたら彼が受賞したはず。この賞の選考は完全に思考停止に陥っている。大谷がこんなに超人的な活躍を見せても「もっとも貢献した」とは見なされないのか?選考委員は、一度合宿でもして、「プロ野球界への最大の貢献とは?」という命題に関する議論をやった方が良い。「球界で最も権威ある賞」としているのは、読売グループのみ。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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