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ハドソンのラストダンスにふさわしい相手は、ともにA'sで「ビッグ3」として投げたジートだ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ティム・ハドソン(後ろはジョニー・デーモン)September 8, 2004(写真:ロイター/アフロ)

オークランド・アスレティックス傘下のAAA、ナッシュビル・サウンズは、9月7日に今シーズンの全日程を終えた。そこで投げていたバリー・ジートが、メジャーリーグに昇格することはなかった。サンフランシスコ・クロニクル紙のスーザン・スラッサーが書いた、9月5日の記事によれば、アスレティックスはジートを「セプテンバー・コールアップ」の対象として考えていないという。

ジートがサイ・ヤング賞に輝いたのは、今から13年も前のことだ。今シーズンはサウンズ――いかにもジートに似合いのチーム名ではないか――で24試合(先発22、救援2)に登板し、138.0イニングを投げて8勝7敗、防御率3.46、FIP4.64、奪三振率5.93、与四球率3.91という成績だった。1年間のブランクがあったことを思えば悪くないが、わざわざ昇格させるほどではない。ジートは37歳。8月は肩の故障により、約1ヵ月投げられなかった。残念な気はするが、アスレティックスの判断は納得できる。

けれども、今や状況は変わった。9月8日に先発登板したティム・ハドソン(サンフランシスコ・ジャイアンツ)が、試合後に、今シーズン限りで引退する意向を表明したのだ。

2000年代前半のアスレティックスには、ハドソン、ジート、マーク・マルダーの「ビッグ3」がいた(3月に「アスレティックスでハドソン、マルダーと「ビッグ3」を形成したジートが、カムバックに向けて好投中」でも書いた)。3人のうち、マルダーはすでに引退し、ESPNのベースボール・トゥナイトで解説者をしている。ハドソンの最後を飾るのに、ジートとの投げ合いほどふさわしい試合があるだろうか。

アスレティックスとジャイアンツは、9月25~27日に対戦する。舞台はオークランドのO.coコロシアムだ。

アスレティックスだけでなく、ジャイアンツもポストシーズン進出の望みはほとんど消えかけている。今から、CSNベイ・エリアによるテレビ中継をESPNに代えるのは無理にしても、ジートを昇格させ、ハドソンとの最初で最後のマッチアップを実現することはできるだろう(マルダーには、元A'sの選手として始球式に登場してほしい)。客寄せのためでもいい。「ビッグ3」がコロシアムで一堂に会し、そのうち2人が先発マウンドに立てば、オークランドのファンは歓喜にむせぶはずだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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