Yahoo!ニュース

【日本プロ野球のフランチャイズ・レコード】清原和博が持つ本塁打記録は今シーズン中に塗り替えられそう

宇根夏樹ベースボール・ライター
中村剛也(埼玉西武ライオンズ) November 13, 2008(写真:ロイター/アフロ)

過去2回にわたり、今シーズン中に更新される可能性のあるメジャーリーグ(MLB)のフランチャイズ・レコード(球団記録)について考察した。では、日本プロ野球(NPB)はどうなのだろうか。本塁打、安打、勝利、セーブのフランチャイズ・レコードを調べてみた。

画像

まずは本塁打。MLBと違い、大阪近鉄バファローズを含む13球団のレコード・ホルダーに現役選手はいない。だが、今シーズンは記録を塗り替える選手が出てきそうだ。埼玉西武ライオンズの中村剛也が、清原和博の持つ本塁打記録に迫りつつある。今シーズン、20本塁打を叩き込めば清原に並び、21本目で単独トップに立つ。中村は過去2年とも30本以上を記録しており、3月29日には今シーズン1号を放った。2004年に大阪近鉄バファローズで中村紀洋が土井正博(305本)を追い抜いて以来、NPBの球団で本塁打のフランチャイズ・レコード保持者が入れ替わったことはない。中村剛也がフランチャイズ・レコードを塗り替える瞬間に清原も立ち会ってほしい、と言えないのは残念でならない。

画像

本塁打と安打、両方のフランチャイズ・レコードを持っているのは、野村克也、張本勲、王貞治の3人。MLBではカル・リプケンJr.やハンク・アーロンら7人がそうだが、割合からすれば23.1%(13球団中3球団)と23.3%(30球団中7球団)なので、ほぼ同じだ。ちなみに、シアトル・マリナーズの本塁打記録はケン・グリフィーJr.(417本)、安打記録はイチロー(2533本)が保持している。今シーズン、MLBで安打のフランチャイズ・レコードが更新されることはなさそうだが、NPBでは東北楽天ゴールデンイーグルスの記録が塗り替えられるかもしれない。嶋基宏はシーズン安打が119本に達すれば、鉄平を追い抜く。過去2年とも100安打未満の嶋だが、2013年は115本、2010年は133本を記録している。聖澤諒もシーズン157安打で鉄平を超えるが、これまでのキャリアハイは2010年の150本だ。

画像

今シーズンも、勝利のフランチャイズ・レコードは動かない。最も近づいている横浜DeNAベイスターズの三浦大輔ですら、平松政次を追い抜くには30勝が必要だ。MLBではシアトル・マリナーズのフェリックス・ヘルナンデスが、シーズン3勝目を挙げた時点でジェイミー・モイヤーの145勝を上回る。

画像

セーブのフランチャイズ・レコード保持者には5人の現役投手がおり、いずれも記録を持つ球団に所属している。ただ、今シーズンは5人とも、記録を伸ばせないかもしれない。フランチャイズ・レコードの更新がありそうなのは、東北楽天ゴールデンイーグルスだ。松井裕樹は今シーズン、27セーブを挙げると福盛和男を追い抜く。福盛の記録には青山浩二(45セーブ)の方が近いが、こちらはセーブ機会があるかどうか。なお、佐々木主浩は横浜DeNAベイスターズだけでなく、シアトル・マリナーズのフランチャイズ・レコード(129セーブ)も保持している。マリナーズの記録も、まだ抜かれる心配はない。

フランチャイズ・レコードを塗り替える投手たち。M'sの奪三振記録はビッグ・ユニットからキングへ

本塁打のフランチャイズ・レコードを持つ現役メジャーリーガーは3人。今シーズンはそこに2人が加わるかも

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事