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来春のWBCもドリームチームはなし!? キューバは亡命選手を参加させず、ハーパーは出場に前向きだが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヤシエル・プイーグ(昨年12月のキューバ・ツアーより)Dec. 16, 2015(写真:ロイター/アフロ)

来年3月の第4回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でも、亡命した選手がキューバ・チームに加わることはない。INDER(スポーツ省)のトップを務めるアントニオ・ベカリは、オリンピックについての記者会見で質問に答え、「不変の方針」として、国内にいる選手だけでチームを編成することを明言した。

昨年12月にMLB機構と選手会が行ったキューバ・ツアーには、ヤシエル・プイーグ(ロサンゼルス・ドジャース)らのキューバ出身選手も参加しており、今年3月には、17年ぶりにキューバでエキシビション・ゲーム(オープン戦)が開催された。それだけに、もしかしたらという期待もあったのだが、そうはならなかった。昨年9月に勝手に組んでみたドリームチームは、幻と消えた。

ベカリはまた、選手にメジャーリーグでプレーする許可を与えることについて、MLB機構と話し合っているとも語った。キューバはすでに、日本プロ野球でのプレーを解禁している。読売ジャイアンツのエクトル・メンドーサはその一人だ。メジャーリーグでもそうなれば、WBCに出場するキューバン・メジャーリーガーも出てくるだろう。けれども、亡命したメジャーリーガーに関しては、WBC出場の扉は閉ざされたままということも考えられる。

一方、ブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)はCSNミッド・アトランティックの取材に対し、WBC出場に前向きな発言をした。ハーパーは今やMLBの顔だ。彼がジム・リーランド監督率いるUSAチームに加われば、そのバットがもたらす得点はもちろん、華やかさも一気に増す。

もっとも、ハーパーの出場には条件がついている。勝てるメンバーが揃うなら出場するが、そうでなければ出ないというのだ。ハーパーは一緒にプレーしたい選手して、ノア・シンダーガード(ニューヨーク・メッツ)、クリス・ブライアントアンソニー・リゾー(シカゴ・カブス)、ノーラン・アレナード(コロラド・ロッキーズ)を挙げている。この4人がいることが絶対条件ではないだろうが、過去のUSAチームを見る限り、残念ながら、ハーパーが出場する可能性は高いとは言えない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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