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2017年のWBC。予選の組分け以上に気になるのはキューバ。亡命した選手が加わればドリームチームに

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホゼ・アブレイユ(現シカゴ・ホワイトソックス)MARCH 4, 2013(写真:ロイター/アフロ)

9月17日、2017年に開催される第4回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の本大会出場をかけて行われる、予選の組分けが発表された。

予選1組/シドニー(オーストラリア)/2016年2月11~14日

オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、南アフリカ共和国

予選2組/メヒカリ(メキシコ)/2016年3月17~20日

メキシコ、チェコ、ドイツ、ニカラグア

予選3組/パナマシティ(パナマ)/2016年3月17~20日

コロンビア、フランス、パナマ、スペイン

予選4組/ニューヨーク(アメリカ) 2016年9月22~25日

ブラジル、イギリス、イスラエル、パキスタン

予選はダブル・イリミネーションのトーナメントで、各組の1位が本大会へ進む。2013年のWBC(本大会)に出場したオーストラリア、メキシコ、スペイン、ブラジルの4ヵ国は、それぞれ別の組だ。一方、カナダ、中国、台湾、キューバ、ドミニカ共和国、イタリア、日本、韓国、オランダ、プエルトリコ、アメリカ、ベネズエラは、予選なしで本大会にストレートインする。

予選に出場する16ヵ国のメンバーにも、メジャーリーガーは含まれるだろう。例えば、今シーズン、メジャーリーグでプレーしたメキシコ出身の選手は、ヨバニ・ガヤード(テキサス・レンジャーズ)やハイミー・ガルシア(セントルイス・カーディナルス)をはじめ、12人を数える。

だが、それよりも気になるのがキューバだ。過去3回のWBCに、キューバから亡命した選手は出場できなかった。ESPNは今年1月に、キューバのINDER(スポーツ省)高官が「亡命した選手が2017年のWBCに出場する可能性はない」と語ったと報じている。それでも、アメリカとキューバが国交正常化に向けて動いていることを踏まえれば、今から1年半後の大会までに、彼らが出場できるようになる可能性はゼロではない。

今シーズン、メジャーリーグの試合に出場したキューバン・プレーヤーは27人いる。そこから、野手のラインナップを組み、先発投手と救援投手をそれぞれ左右1人ずつピックアップしてみた。

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打線には、ドミニカ共和国やアメリカにも引けをとらないメンバーが揃う(アメリカはいつもベストメンバーとは言い難い)。9人中6人は、ここ2年のオールスター・ゲームのどちらかに選ばれている。ヨセニス・セスペデス(ニューヨーク・メッツ)やホゼ・アブレイユ(シカゴ・ホワイトソックス)、ヤシエル・プイーグ(ロサンゼルス・ドジャース)については、前にも何度か書いてきたが(下記参照)、メジャーリーグで活躍しているキューバンは、彼らだけではない。なかでも、外野は層が厚く、ホルヘ・ソレーア(シカゴ・カブス)、ルスネイ・カスティーヨ(ボストン・レッドソックス)、レオニス・マーティン(レンジャーズ)らも控えている。

9人のうち、シーズン中と違うポジションなのは、本来なら遊撃手のアレクシー・ラミレス(ホワイトソックス)だけだ。メジャーリーガーに限らなければ、アレクシーや同じく遊撃手のアデイニー・エチャバリーア(マイアミ・マーリンズ)に二塁を守らせなくても、レッドソックスが今年3月に契約したヨアン・モンカーダと、レンジャーズが7月に契約したアンディ・イバニエスはどちらも二塁手だ。7月にドジャースからアトランタ・ブレーブスへ移り、9月にメジャーデビューしたヘクトル・オリベラは三塁を守っているが、もともとは彼も二塁手だった。

一方、投手は野手ほどには充実していないものの、エースとクローザーには、奪三振率の高いホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)とアロルディス・チャップマン(シンシナティ・レッズ)がそれぞれいる。フェルナンデスの登板試合が少ないのは、昨年5月にトミー・ジョン手術を受け、今年7月に復帰したためだ。フェルナンデスとヨエニス・エリーアス(シアトル・マリナーズ)の他には、ライセル・イグレシアス(レッズ)も先発として投げている。1月にアリゾナ・ダイヤモンドバックスと契約した100マイル・ボーラーのヨアン・ロペスなど、プロスペクトも皆無ではない。

キューバから亡命した彼らが、キューバ国内でプレーしている選手に加われば、間違いなく、WBC優勝の筆頭候補に挙がるチームができあがる。何だったら、キューバ・ナショナルチームとは別に、亡命した選手だけでチームを結成しても、優勝を狙えるだろう。もっとも、こちらは、ナショナルチームへの参加以上にハードルが高く、実現しそうにもないが。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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