筆者による受賞コメント：この度はありがとうございます。プロ野球の、阪神タイガースの、さらにファーム(2軍)という、特定された範囲で記事を書いている私には縁のないものだと思っておりました。すべては4年ぶりに支配下選手へ戻り、大活躍してくれた原口選手のおかげです！ファームにいて、1軍を知らないまま去っていく選手が珍しくない世界。毎年、ある種の覚悟さえ持ちながら取材してきました。それがこんな形で出せたことを本当に嬉しく思います。

（岡本育子）

選出理由：阪神2軍を取材し続けてきた筆者が、育成選手から這い上がった原口選手の魅力と人柄を伝えます。「そこで（1軍で）誰よりも輝いてください」――筆者のあふれる優しい視線を感じる、ハートウォーミングな1本です。原口選手はその後、5月のセ・リーグ月間MVPを受賞しました。

筆者による受賞コメント：この記事は、以前、高額な医療費のために治療を中断し亡くなった方のご遺族を取材してから抱き続けていた問題意識をまとめたものです。費用対効果と聞くと「高額治療の切り捨て？」と思われる方がいるかもしれませんが、議論の本質は「『高額の薬であっても、本当に必要な人にはきちんと届く仕組み』をどうしたら持続可能にできるか？」ということです。賛否両論あると思いますが、今後の医療にとって欠かせないトピックです。少しでも興味を持って下さったら幸いです。

（市川衛）

選出理由：「1錠8万円の薬」という目を引くトピックをわかりやすく解説し、薬価そのものの考え方や、海外事例を交えながら日本全体の医療費のあり方という背景まで深掘りしています。高騰を続ける医療費を踏まえ薬の価値をどう考えていくのか、読者一人ひとりに問いかける記事です。

筆者による受賞コメント：技能実習生に関する問題は、「受け入れ国」日本にとどまらない「国境を超える問題」です。この問題を考えるには技能実習生の「送り出し地」を知ることも重要なため、この記事には送り出し地・ベトナムの視点を組み込んでいます。同時に、技能実習生が、私たちと同じように、人生について悩んだり、希望を持ったりする、そんな存在であることを伝えることで、日本の読者に技能実習生をより身近に感じてもらい、少しでも技能実習生の状況が改善すればと思いながら、取材・執筆をしました。長文の連載の機会をいただいた上、MVAに選んでいただき、本当にありがとうございます。

（巣内尚子）

選出理由：外国人技能実習制度について、実習生の目線で問題点を伝える労力のかかった大型連載です。送り出す国、受け入れる国、双方で何が必要か考えさせられる問題提起です。

筆者による受賞コメント：福田健二の熱さに惹かれ、15年余も追走してきました。闘志の奥にあるものとは？その真相を描いた「Number」の記事や「情熱大陸」のルポ、拙著「導かれし者」「おれは最後に笑う」は多くの方の共感を呼びました。そして引退の瞬間を切り取った記事で、このような賞もいただき、光栄の至りです。福田に感謝するとともに、今後もアスリートに肉薄する物語を描けるよう、奮励努力いたします。

（小宮良之）

選出理由： 香港で愛された日本人選手・福田健二選手の雄姿を振り返った発信です。福田選手がどのような思いで流浪のフットボーラー人生を送ったのか、筆者の感情のこもった文に心が震えます。

筆者による受賞コメント：ありがとうございます。もともとグルメ取材で訪れた北海道の炭鉱の町が、国のエネルギー政策により栄え、そして寂れたことを知り、今の原発の町に重なる部分もあると感じ書いてみました。旅は楽しいだけでなく、日本をさまざまな角度から考えるきっかけになります。今後も旅を通じて感じた「さまざまな日本」を紹介していきたいと思います。

（カベルナリア吉田）

選出理由：紀行ライターとして各地をめぐる筆者による、炭鉱の街からの発信です。土地の紹介にとどまらず、見聞きした状況や街の人々との会話から全国の読者に通じる課題が浮かび上がってきます。

筆者による受賞コメント：この度は選出していただき、ありがとうございます。大変光栄に思います。この受賞で、ニュースになっている当事者からのメッセージをそのまま伝えることの大切さを感じました。これからも、生きた情報を伝えていけたらと思います。

（朝原宣治）

選出理由：陸上界の第一線で活躍されてきた筆者の、「ドーピング」問題に関するコメントです。「我々のようにその瞬間にメダルを取ることに全てを賭けた者にとって、その時の感動は忘れられない大切な事実です。」という一文からは「ドーピング」が使用者や関係者だけでなく、一緒に競い合うライバルまでも傷つける行為であるということが伝わってきます。