「誰に質問するか?」で成功する/成功しないが決まる時代
世の中には、成功する人と、成功しない人がいます。何事もうまくいく人とうまくいかない人がいます。成功したいと願うとき、何かをうまくいくようにしたい場合、自分の中にアイデアや知識がなければ、その都度どこかから探してこなければなりません。あなたならどのように知識を収集しますか。アイデアを探してきますか。
知識やアイデアの獲得は、大きくわけて以下の2つに分かれます。
●日ごろから収集しておく
●必要なときに調べる
つまり、必要なときに必要な分だけの知識があれば成功するかというと、そうではありません。常に成功した先人たちの思考法、仕事術、ノウハウの習得を心掛けるべきでしょう。そういった知識を土台(ベース)にして、必要なときに、必要な知識やアイデアを探すのです。
たとえばビジネスをするうえで何らかのイベントを企画し、集客したいと考えたとします。そのためにはどのような「プロモーション手法」が有効か、どのような属性の人たちに、どのようなタイミングで仕掛けると効果が高いのか。そしてコミュニケーション媒体にどんな種類があるのか、日ごろから知識を収集しておきます。そのうえで、いざイベントを企画し、集客しようとしたとき、
「さあ、どんなチラシを作ろうか?」
と考えるのです。そのときになってはじめて「どうすればいいんだろう?」と、具体的に調査をはじめます。問題はこのタイミングです。新たな知識・アイデアが必要になったとき、どのような調べ方をするのか、どう意思決定をするのかということ。
意思決定プロセスにおいて、ある一定の偏り(バイアス)があると、正しい判断ができません。「利用可能性ヒューリスティック」という認知バイアスがあります。自分がアクセスしやすい身近な情報を過剰に信じてしまい、論理的な決断ができなくなることを指します。たとえば、先ほどのチラシ作りの事例で言うと、
「友人がやっているリフォームの会社では、黄色い紙を使っていた。今はあんな派手な色のチラシがウケるのかもしれない」
……という価値判断です。そのリフォームの会社がチラシ作りのプロであり、自社の広告のみならず、イベントのプロモーションでも長く実績を上げているのならともかく、自分の友人がやっている会社なので質問しやすかったからという理由で参考にするのは危険です。
このような事例は枚挙にいとまがない、と言えるでしょう。
「我が社が開発したスマホ向けゲームも、テレビアニメとのタイアップを模索しよう。『妖怪ウォッチ』もそれでメガヒットとなったのから」
「嵐の松本潤さんは体力をつけるとき、昼はゆで卵5個、夜はプロテインだけと言っていた。私も体力が落ちてきたら、そうしようと思う」
「最近、友だちのお母さんが言っていたんだけれど、寝る前は子どもにホットミルクを飲ませたほうがいいみたい」
利用しやすいものにアクセスして、自分の都合のいい情報を引き寄せるのです。その意見が正しいか正しくないかは別として、「その道のプロ」ではない人の意見を鵜呑みにすべきではありません。参考になることもあるでしょうが、より効率よく、正しい判断をするためには、確率の高い情報を探すことが大切です。「その道のプロ」が発信している情報により多くアクセスすべきです。高度情報時代になり、このバイアスにかかっている人が急増しています。ひと昔前と比べ、素人の意見にアクセスしやすい環境が整っているからです。
ネット時代に成功するための「消去法スキル」についてに書いた通り、成功は消去法でしか手に入りません。膨大な量の試行を繰り返し、その結果、「うまくいかなかったやり方」を消去した経験が過去にない限り、プロとは呼べないのです。現在うまくいっているからといって、その方がプロだとは限りません。「たまたま」うまくいっていることも十分にあり得ます。にもかかわらず、多くの人が「利用可能性ヒューリスティック」に引っかかり、簡単に意思決定しようとしてしまいます。
プロの話を聞くのはハードルが高いし、お金もかかる。だからといって手っ取り早く、身近にいる人にアドバイスを求める、知人のブログやフェイスブックに書いてるあることを参考にする、という行為は慎重にしましょう。そのやり方でたとえ成功しても、失敗したときでも、その原因を正しく検証できないことが一番のリスクだからです。