炎上中のDeNAにサイバーエージェント、その根底に流れるモラル無きDNAとは

DeNAの記者会見の様子(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

こんにちは。ヨッピーです。普段は「銭湯の神」として主にインターネットでは銭湯の普及活動にいそしんでおります。銭湯は、いいぞ。

DeNAパレット構想
DeNAパレット構想

さて、ご存知の方も多いかもしれませんが、横浜DeNAベイスターズのオーナー企業であり一部上場企業であるところのDeNAが運営する「DeNAパレット構想」傘下のキュレーションメディア群が盛大に炎上、稼ぎ頭のMERY、炎上の発端となったWELQを含む10媒体全てが運営を停止、記事が非公開になるという局面を迎えており、DeNAの株価にも影響を与えている模様です。

DeNAが「MERY」全記事の非公開化を発表「厳正かつ公正な調査」のため

https://www.buzzfeed.com/keigoisashi/dena-mery

更に本件がリクルートやYahoo!、サイバーエージェントなど大手各社に飛び火したことで新聞雑誌地上波問わず各所の注目を集めており、個人的にもすごくエポックメイキングな出来事だな、と思っているので、この件にまつわる問題や、僕と某社との水面下の殴り合いについて本日は書かせて頂きます。死ぬほど長文ですがなにとぞよろしくお願いします。

【問題の経緯】

最初に、経緯について僕なりにまとめておきます。そもそもの発端は、ご本人が医学部出身という事もあり、医療に関する思い入れの深い、ライターの朽木誠一郎さんが張った一連のキャンペーンに依る所がかなり大きいのではないかと思います。

背景として、DeNAが運営する医療、健康に関する情報を取り扱う「WELQ」というサイトに掲載されている情報の信頼性に問題があった事があります。DeNAは「この情報(WELQに掲載されている情報)の信頼性を保証しない」と言い切った上で媒体の運営をしており、健康上の不安を抱えた人がたどり着くサイトに正確ではない情報、具体例として「肩こり」の原因について「霊的トラブルかも?お祓いしてみては?」と回答するような、斜め上どころか札幌に行くつもりがケニアに行ってしまったくらいの温度差がある回答がWELQではかつて大手を振って掲載されており、この「信頼性」に対する問題提起をしたのが朽木さんである、と認識しております。

朽木誠一郎さんの記事

医療情報に関わるメディアは「覚悟」を- 問われる検索結果の信頼性(9月10日)

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuchikiseiichiro/20160910-00062062/

そしてこれらの問題が大きく注目されるようになるきっかけが、SEO(WEBサイトの検索順位を上げるための最適化技術)の専門家である辻正浩氏のツイート。

「死にたい」とGoogleで検索すると、WELQの記事が検索トップで表示され、その記事中にキャリア診断テストのアフィリエイトリンクが仕込んであったそうです。「もうダメだ……」と今にも首をくくりそうな人に「ちょっと死ぬのは待って」と言いながらポケットから小銭をチャリンチャリン抜くような、最高にロックな記事に仕上がっており「切羽詰まっている人からもお金を搾り取る気か!」という事でWELQに対する批判が集中します。

更に朽木誠一郎さんの記事

「がん」などのインターネットの検索結果で「信頼できる医療情報」を手に入れるために知っておきたいこと(10月24日)

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuchikiseiichiro/20161024-00063263/

呼応するようにBuzzFeedJapanの記事が出る。

無責任な医療情報、大量生産の闇 その記事、信頼できますか?

https://www.buzzfeed.com/keigoisashi/welq-01

そもそも、これらのいわゆる「キュレーションメディア」と呼ばれるようなサイト群を取り巻く問題については、発端となった「情報の信頼性」という部分以外にも、著作権にまつわる問題やライターの使い捨て問題など、他にも様々な問題を抱え込んだりしているわけですが、今回のようにさすがに「死にたい」と検索をかける人からも小銭をまきあげて収益源とするような手法は唾棄すべき存在と言わざるを得ず、また医療という人命に関わる分野であったが為に大きく注目を集め、前述の朽木誠一郎さんや辻正浩さん、永江一石さんにBuzzFeedJapanにITmediaなど様々な個人、団体が一斉に非難の声を挙げた結果今回の結末に至ったわけでして、その上で全てのサイトの更新を停止し、記事を非公開にした上で記者会見まで開いたDeNAの対応については一定の評価をしても良いかともいます。ただし、本件において創業会長まで出てきて頭を下げている中で、今回の「首謀者」と呼んでも良いであろう事業統括責任者である村田マリさんが雲隠れしてだんまりを決め込んでおりますし「これで終わり」というわけでは決してありませんが。

このWEBメディアの問題がWEBメディアとそれらを担う個人によって追及され是正されるという流れについては、業界として自浄作用が働いている事の証左ともいえますし、今回の件が大きく明るみに出る前からWEBメディアの中でも、

とにかくお金が儲かればいいよ派 vs  ちゃんとやろうよ派

みたいな対立が水面下ではあったわけでして、今回の件はいわば関ケ原の戦いのようなもので、今後のWEBメディアの方向性を決定づけたと言えるでしょう。今回の騒動が注目を集めた事で「メディアはちゃんとやらなきゃな」という風潮に当然なりますし、個人や中小企業レベルではともかく、大手企業でこういった問題のあるメディア運営に手を出す所はなくなるはずです。こういった問題を抱えるWEBメディアに広告を出稿していたクライアントや広告代理店においても同様で、彼らは現在余波を食らって大炎上の真っ最中というところでありまして、さすがにこういうメディアにお金を出すリスクに対しては、過去の甘かった認識を改めたはずです。

僕は1人のライターでしかありませんが「ちゃんとやろうよ派」の人間であり、以前同様に著作権に関する問題を多数抱えたバイラルメディアであるBuzzNewsを一生懸命叩いて閉鎖まで追い込んだのに、その残党がDeNAに合流して暴れまわったことによって今回の結果に繋がった、というめまいがするようなバックグラウンドもあったりして、「とにかく儲かればなんでもオッケー」みたいなモラルに欠ける人たちに社会的な制裁を受けて頂く事は諸手を挙げて歓迎すべきものですから、今回の件に関わった人々に対しては深い尊敬の念を抱くとともに、感謝の言葉を送りたいと思います。

そして、その関ケ原の戦いの一方で小競り合いが発生していた事について、今回はお伝えしたいと思います。そうです。ここからが今日の本題です。前置きなげーよ。

【サイバーエージェントはどうなの?】

さて、ここでDeNAと同じく東証一部上場企業であり、業界のリーダーであるところのサイバーエージェントが運営する「Spotlight」というメディアが登場します。

Spotlight
Spotlight

Spotlight

http://spotlight-media.jp/

この「Spotlight」も非公開になったDeNAのサイト群と同じく「情報の信頼性」「著作権」という部分で問題を抱えたメディアであり、今回の騒動を受けて一部の記事を非公開化するなどの対応を取っている模様です。

キュレーションメディアで記事の削除・非公開化続く 「Spotlight」「by.S」でも一部記事を非公開に

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1612/05/news084.html

しかしながらこの「Spotlight」は以前から記事、画像の盗用で度々問題を起こしているメディアでありまして、「Spotlight パクリ」とかで検索をかけて頂ければ死ぬほど出て来るのでわかると思うのですが、まあ評判の悪いメディアです。そして僕が水面下でボコボコに殴り合いをしていた相手がこのSpotlightなのです。

検索結果のスクリーンショット
検索結果のスクリーンショット

例えばこちらの記事。

【twitter話題】漫画「鴻池剛さんと猫のぽんた」が、あるあるすぎて…(*´艸`*)

http://spotlight-media.jp/article/223665086167594370

【たぶん消されるから保存用】

http://web.archive.org/web/20160112184619/http://spotlight-media.jp/article/223665086167594370?

この記事はTwitterのフォロワー数70万人を超える、売れっ子漫画家の鴻池剛さんの漫画を盗用したものです。当然Spotlightに掲載するにあたってご本人の許諾は取っていません。これは法律に照らしても完全にアウトなケースです。

他にもこの記事

山中で撮影された男性の写真、その奥には1カ所の赤い丸?そこには一体何が…

http://spotlight-media.jp/article/246085909226015701

【同じく消されるだろうから保存用】

http://web.archive.org/web/20160212000755/http://spotlight-media.jp/article/246085909226015701

こちらはライターの地主恵亮さんの写真の盗用です。本文中に使われている写真が全て盗用ということもあり、引用の要件には当てはまらないので完全にアウトです。

……と、これはまあマジでもう本当にごくごく一部、氷山の一角どころか氷山の削りカスみたいなもので、WEBメディア関係者やクリエイターさん達と会う機会があると「Spotlightどうにかしろよ」みたいな議論になる事が良くあります。もしお知り合いにWEBメディア関係者が居たら是非聞いてみてください。その嫌われぶりがわかると思います。

もちろんトラブルになったのは僕との間だけではなく、以前から様々な権利者から突っ込みを受けており、謝罪した上で過去に何度も改善を約束しているくせに一向に改善される気配が無い、みたいな背景もあったりします。

写真盗用で炎上のサイバーエージェント「Spotlight」、再発防止策を公表 著作権など執筆ルールをWeb公開(2015年5月)

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1505/11/news075.html

そんなわけでSpotlightの著作権軽視についてはいつまで経っても改められる気配は見られず、周囲の人から何故かパクリ問題でよく相談を受ける僕が「またSpotlightか……」とため息をつき続け、「抜本的に対処せにゃならんぞ」と業を煮やした結果「よし、じゃあSpotlightをぶん殴ってみるか!」と思い立った、というのが今回の流れであります。

【Spotlightとの経緯】

まずは僕に相談を持ち掛けてきた人はもちろん、周囲のクリエイターさん達に「Spotlightにパクられて困ってる人居ない?」みたいな感じで呼び掛けた所、サクッと法人個人含め12人、件数にして19件の権利侵害が確認出来ました。

そして一人一人に確認を取り、「今度、Spotlightとケンカするけど、面倒くさい事は全部僕がやるから弁護士と委任契約結んでね」という事で全員から承諾を取り、それをもって「さあ、どうやって料理してくれよう。民事でやるか、刑事でやるか」などと思っていた所、Spotlightの編集長であるところの渡辺将基さんからこんなメールが届きます。

画像

敵から仕事の依頼が来よった。

これは本当に、マジでたまたま僕宛に来たメールなんですが、こうやって編集長が直々に「内部でしっかりオリジナルコンテンツを作る」という事を僕に言ってくるわけですから、今までの「儲かればなんでもいいよ陣営」から「ちゃんとしようよ陣営」に鞍替えする気持ちがあるのかな、と思ったわけです。

「これは情状酌量の余地があるかもしれない」

という事で「Spotlight、ブチ殺す!!!」という気持ちはとりあえず隠したまんま、「じゃあ打ち合わせしましょう」とだまし討ちみたいな形で編集長と渋谷で対面する事になります。

そこで、

僕「黙っててごめんな、でもこんな風に僕の周囲だけで19件も問題が発生しとるんよ。これどう落とし前つけるん?」

みたいな話し合いをしました。全部録音済です。

Spotlightのややこしい所、というかズルい所は、CGM、つまりは「誰でも登録して記事を書ける」というような仕組みになっていて、書いた記事の法律上の責任などはライター個人が背負う、みたいな形に規約上なっている事です。これは今回の発端となったDeNAも同じで、悪名高いNAVERまとめなんかもそうですね。ただDeNAの場合は実際にクラウドソーシングで雇った安価なライターに直接的な指示まで出していた事が明らかになってましたけど。

さあそんなわけで「ユーザーが勝手にやってるだけ!編集部は知らない!」みたいなスタンスをSpotlightが取る一方で、こちらのインタビューでは「記事は全件チェックしてる」という言葉もあり、編集部が記事ごとに、どこまで関わっていたのか、実情がどうなのかは外側からはわかりません。

日々、50~60本ほど記事を掲載しており、編集部は記事を全件チェックし、クオリティの良い記事はタイトルの変更などを実施することで、ソーシャルメディアで話題になるよう手を加えている。編集部からライターが執筆した記事に対してレビューも実施し、徐々にライターのスキルを高めている。

開始から約10ヶ月で月間訪問者数が1100万人を越えたメディア「Spotlight」の運営の裏側

http://thebridge.jp/2015/02/spotlight

とは言え、「メディア」「編集」「編集長」をうたっており、ブログサービスなどと違って全て同じメディア名で記事が公開される上、運営会社として上場企業である「サイバーエージェント」の名前がある以上、ライターがいかに荒唐無稽な事を書いても「サイバーエージェントのメディアだからな」という事で信用する層は一定数居るでしょうし、その上前をハネて利益を得ていながら、何かしら問題が起こった時に「ワシャ知らんで」という態度はいかがなものか、と思うのであります。

そんなわけで僕からSpotlightに出した要求は以下です。

1:著作権侵害の原因となるライターに対する厳罰化

権利侵害が発覚した時点で当該ライターの過去記事を含めた全ての記事を削除、永久BANという形で今後一切Spotlightに関われないようにする。また、発生した権利侵害と、過去にサイバーエージェント社から支払われた報酬に対する法的な責任追及の徹底。

2:問題記事の削除

現時点で権利者の許諾を取れていない、権利侵害を行っている記事についてはライター各自で削除して対応とすることの徹底を各ライターに呼びかけ。期限を切った上で対応が為されていないものに関してはspotlight編集部にて対処。

3:権利侵害の窓口の整備

mailtoで開くメールシステムなど無いのも同じ。メールフォームをわかりやすい箇所に設置し、権利侵害の被害を重複して受ける組織、個人に対しては担当者が個別に再発防止策について協議すること。

※この部分に補足しておくと、2016年6月の時点では、クリックするとoutlookが開くタイプのメールしか通報窓口がなく、僕が普段使っているchromeではそもそもエラーが出て開かなかった

4:上記内容の公表

上記の内容をリリースとしてTOPページからのリンクと共に公表する

回答は以下の通りです。来たメールを全部コピペします。

お世話になっております。サイバーエージェントの渡辺です。先日はありがとうございました。今回ご指摘いただいた事項を真摯に受け止め、我々でも今後の対応方針などを議論いたしました。ご要望に対してインラインで回答させていただきますので、ご確認いただければ幸いです。

1:著作権侵害の原因となるライターに対する厳罰化

今後、画像を無断で掲載する場合など、著作権侵害が明らかな記事は削除することを徹底していきます。また、投稿者であるSpotlightの会員に対しても、記事内容の改善が見受けられない場合は、アカウントを削除するなど然るべき対応をしていきます。2016年7月末を目途に運用フローの整備や会員への周知を実施し、以降新基準を適応した監視運用を開始させる予定です。

2:問題記事の削除

権利侵害が明らかである記事を書いているSpotlightの会員に対して、2016年7月末を目途に運営側から記事削除もしくは記事内容の変更を依頼します。また、あらためて、権利侵害記事を書くことがないように啓発活動に努めてまいります。

3:権利侵害の窓口の整備

権利者の方々がお問い合わせしやすいように、2016年7 月末までを目途にに権利者窓口をメールシステムから問い合わせフォームの形式に変更します。お問い合わせ内容が権利侵害であることが確認できた場合は、運営側で速やかに然るべき対応をいたします。

4:上記内容の公表

いただいたご意見を真摯に受け止め、あらためて社内で適切なメディア運営について議論を進めております。Spotlightの読者の皆様や会員向けにお知らせすべきものがある場合には、運営側で告知方法を検討し対応してまいります。

ここまでは良いです。ここまでは良いのですが、「7月末までを目途に」という事なので、今、7月なんてとっくに過ぎた12月頭現在のSpotlightがどうなっているかを見てみましょう。まず、冒頭に触れた鴻池剛さんや地主恵亮さんの記事がまだ削除されずに残っている時点でお察しな事はもちろん、こういうのが今現在も公開されているわけであります。

紅の豚ポルコの名言が『電通に!日本企業に聞かせてやりたい!』とSNSで話題

http://spotlight-media.jp/article/347984890615981365

【保存用】

http://archive.is/NBrpq

はい。このケースは「金曜ロードSHOW!」の公式アカウントのツイートを引用元にしてますが、APIで表示するのではなく、こんな風にサーバーにアップしてたらアウトじゃないかっていう議論もありますし、そもそも公式アカウントが呟いた画像にはコピーライト表記、つまりはCマークが入っているのにこの記事中で盗用されている画像にはその表記が無いんですよね。つまりは表記をわざわざ消してからアップしてるわけですよ。何それ。完全に真っ黒やん。

「となりのトトロ」母がサツキの髪の毛を梳かすシーンには優しさが溢れていた!

http://spotlight-media.jp/article/345924648953287649

【保存用】

http://archive.is/PfyyP

この記事の扉絵になってる画像なんて、「引用元」が今回の騒動で死んだFindTravelですし、そのFindTravel、もうログは見れませんがジブリ作品の二次創作サイトから画像を引っ張ってましたからね。孫引きの孫引きで責任の所在をうやむやにしようって事なのかも知れません。この手法を「著作権ロンダリング」と名付け、今後積極的に使っていこうと思います。

そんなわけで著作権ロンダリングサイトである所のSpotlightですが、7月末をもって改善されるはずが、12月頭の今に至っても相変わらずグレーゾーンどころか真っ黒な道を突っ走っておられるわけです。だって、ちゃんとチェックしてりゃジブリの画像なんていう、どう考えたって取り扱い注意の画像が混ざった記事をスルーするわけがないですから。これをもって反省しているという風に捉えるのは少し無理がある気がします。そして11月以降は「誰でも書ける」というメディアではなく、一定の審査をクリアした人だけが記事の投稿が出来るシステムに変わっている、という事でして、僕自身も潜入と言いますか、どういうシステムになっているのか試そうと思って作っていたダミーアカウントでは確かに11月以降はSpotlightに投稿出来なくなっていたのですが、上で示したジブリ関連の記事については11月以降に公開されたもの、つまりはSpotlight社が審査をした上で投稿を許可されたライターが作成したものです。審査ってなんなんでしょうか。

更に、僕が先方に突きつけた条件で大事なものがもうひとつあります。

5:和解金の支払い

被害者が多数のため、代理人として指定の弁護士が委任状を交わした上でまとめて対応する。

つまりは、今回集めた12人、19件の権利侵害に対して「補償しろ」という要求をつけました。「反省します」というセリフでナアナアにしたくなかったからです。ちなみにこの要求について僕個人の権利は含まれてないので個人的には完全なボランティアであります。

それに対してサイバーエージェント社、及びSpotlight編集長である渡辺将基氏が出してきた回答がこれです。

Spotlightは、サービスが定める「利用規約」に基づき、会員が自身の責任で自由に記事を投稿しているCGM型のメディアです。会員はこの利用規約上、著作権侵害をすることを禁じられており、権利者の方に対して権利侵害によって損害を与えた場合、投稿者自身がその責任を負うことが定められております。

和解金のお支払などをご請求されたい場合は、プロバイダ責任制限法の手続きに沿って発信者開示請求の書面をご用意いただければ、当社が保有する会員の情報をご提供することが可能です。以上、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

わかりますかこれ。つまり、「届け出をしてくれればライターの個人情報を渡すからライター個人を訴えろ」って事なんですよね。ひどくないですかこれ。何のための編集部なんだっていう話です。

こういうトラブルが起こった際に書き手であるライターを生贄に差し出すような真似をし、自分達はきっちり利益の上前をハネておいてその責任は知りません、ってそんなひどい話あるか、って思うんですよ。そもそもSpotlightのライターの報酬って死ぬほど安いですからね。

編集部って、読者が居て、ライターが居るから成り立つわけじゃないですか。それなのに読者に対しては「信頼性を保証しません」なんて誠意の無い対応をして、ライターに対しては「何かあっても俺らは知らんぞ」って、そんな編集部って存在する価値あるのかな、って思うんですよマジで。この人たちは一体、何の仕事をしているの?

この文面には流石に僕も腹が立ったので、サイバーエージェント社との交渉はここで打ち切りにして、次なるフェーズに進もうと思って死ぬほど面倒くさい作業に着手する事になります。

法律に訴えよう

この分厚い資料の束を見よ
この分厚い資料の束を見よ

そんなわけで何かしらの法的手段を持って対抗しようと思ったわけですが、法的手段、と一言で言っても「民事」と「刑事」の2種類がありますし、訴える相手をサイバーエージェント本体にするか、ライター個人にするか、という選択肢があります。

ざっくり「民事」と「刑事」の何が違うかと言うと、ものすごーく荒っぽい言い方になりますが、民事は裁判に負けてもお金を払えばそれでオッケー、と言いますか、「いくら払うのか」みたいな部分を争うのに対し、刑事ですと裁判に負けると罰金や懲役といった刑事罰を食らう可能性まであります。

著作権法は民事、刑事にまたがる法律なので、告訴する事で刑事事件として取り扱って貰える可能性があり、そして刑事告訴が受理されれば後の捜査は警察などの捜査機関が行ってくれる決まりになっております。冒頭でも書いた通り、Spotlightの運営が実際どうなっていたのか、を僕個人が調べるのは大変手間がかかりますし、捜査権限を持った機関に調べて頂く方が確実だし社会的なインパクトも大きいので今回は民事ではなく「刑事事件にする」という目的を持って行動を開始しました。

その上で弁護士さんに相談した所、「それで受理してもらえるかどうかは正直言ってわからない部分があるけれども、やる意義は確実にあるのでやりましょう!」と言って頂いたので報酬ン十万円(自腹)をスパーンとお支払いした上で上の画像にもある通り、大量の資料を用意してあれこれ行動を開始します。

しかしながら、編集部として直接的に管理している記事であれば権利侵害は明らかですし、編集部に対する告訴もスムースに進んだのかも知れませんが、今回の場合は前述の通りサイバーエージェント社が「あくまでライターが勝手にやったこと」という規約を通してきているため、法的手段に訴えるにしても、前述の通り、直接的に権利侵害をしたライター個人を訴えるのか、それとも編集部を訴えるのか、みたいな問題が発生します。

僕としては、

1.被害者が多数存在し、改善を何度も約束しながらも実際には全く実行される気配が無いこと

2.Spotlightの入稿システムが盗用を機械的に行えるようなシステムになっていること

3.「猫画像のまとめ記事を書こう」「話題になってるLINEのやりとりを紹介しよう」など、ライター向けのノウハウページに「他所からネタを持ってくることを推奨するような記載」がありながらも同時に「許諾を取れ」「APIを使え」といった著作権に関する注意喚起が為されていないこと

4.特定のドメインに対する、CMSを利用した引用を禁止するようなシステムが構築されているにも関わらず、極一部のドメインにしか適用されていなかったこと

5.これらの問題を数年前から認識していたこと

以上の事から編集部にもだいぶ責任があるんじゃないか、と思うわけであります。過去、Spotlightの外部ライターとして活動していた方にも話を聞いたのですが、当時から著作権上の問題については編集部内でも議論があったらしく、プロのライターとして知見があったその方は何度も法律上のリスクについて指摘をしたそうですが、編集部は「引用元にリンクを張りさえすれば問題ないと法務が言っている」の一点張りで運営方針が改められる事はなかったそうです。そんな甘い認識でメディアの運営に携わっておいて責任が無いと言えるのでしょうか。

そんなわけでまず最初に持ち込んだのがサイバーエージェント本社のある渋谷警察署の生活安全課ですが、担当の方が言うには「所轄レベルだと対応出来ない」との事で、今度は警視庁の知的財産関係犯罪を取り締まる経済第七課に持ち込んだのですが、返答は「このケースだと、まず直接の実行者である個別のライター個人を特定して刑事告訴して捕まえた上で、サイバーエージェント社を共犯という構成にしないと立件は難しい」というものでした。

ライター個人、か……!

もちろん権利侵害の直接的な責任はライター個人にあると思うのですが、Spotlightのライター陣に関してはほとんどが素人の人であり「自分のやってることが犯罪である」という認識が薄いのではないか、と思うわけです。それはそれで問題なんですけれども。

Spotlightの入稿ツールは引用(という名の盗用)を簡単に行えるシステムになっている上、編集部のチェックも入らず、模範とすべきランキングに入ってる記事は軒並み著作権に違反していて注意喚起もまばら、という事で、ライター個人としては「悪い事だと思ってない」という可能性が相当高いと思うんですね。

オレオレ詐欺で言うところの出し子を捕まえた所で、本体の黒幕を押えない限り被害は減らないわけで、そのライター個人に対して締め上げるような真似をしたいとは思ってないので直接サイバーエージェント社を告訴出来ないか粘ってみたのですが、やはり難しい、という事で、渋々ライター個人の情報開示請求をサイバーエージェント社に行い、ライター個人を特定した上で内情を聞き出し、告訴までしてしまうかどうかを決めよう、という方針になったタイミングで、今回のWELQ騒動が起こったわけです。

その上でこういう報道が出ちゃったんですよね……。

サイバーエージェントのSpotlightもまとめ記事の非表示対応を開始

http://tano.blog.jp/20161203/spotlight

あれ、なんかしれっと逃げようとしてる……?

以上が経緯になります。何が言いたいかと言うと、「個人で対応するのはめちゃくちゃ大変」という事です。Spotlightの編集部は当然著作権に起因する問題が頻出している事は随分昔から認識しており、削除依頼に関しては対処しているようですが、逆に言えば「削除依頼が来ない限りは何もしない」という心温まる対応を取っております。「じゃあ、削除依頼出せば?」と言われそうですけれども、人気のあるメディア、例えばグルメの口コミサイトやレシピサイト、ファッションサイトなんかを運営している事業者とかになると、それこそ削除申請した所で雨後のタケノコみたいに何度も何度も画像がパクられて同じ事が繰り返されるわけで、「いい加減にしろよ!なんで被害者であるこっちがいちいち調べて削除申請してっていうコストをかけなきゃいけないんだよ!」と言いたくもなるじゃないですか。

そういった「パクリに対応する事の難しさ」についてはこちらの、朝日新聞が運営するwithnewsにも良くまとまっております。

まとめサイトの盗用、ある“浴衣画像”が「収拾つかない」事態に

http://withne.ws/2g64aCv

僕はン十万の自腹を切って弁護士を雇ったとしても、自分の仕事に関わる事ですから「インターネットを良くするための必要経費だ!」って割り切れますし、ライターという職業柄「ネットで悪口書くぞこの野郎!」みたいなカードも持っていたりするわけですけれども、そんな僕でもこうやって手を焼くのが実情ですから、本当に1個人がこれに対応するともう完全にお手上げだと思うんですよ。仮にサイバーエージェントを訴えるのを諦めて、ライター個人に狙いをつけるにしても、情報開示請求出して、告訴なり訴訟なりして、ってやってたら手間も時間もお金もかかるわけで、お金を多少ゲットした所で絶対に割に合わないわけです。だからみんな泣き寝入りするしかないし、それをわかってるからこそSpotlightは相変わらず真っ黒な道を元気に走ってるのかな、って思います。

今後はライター個人の情報開示請求をサイバーエージェント社に対して行い、それを持ってライター個人に内部事情を聞いて編集部を共犯に出来そうなら共犯に、無理そうならGunosyなどのキュレーションメディアにSpotlightの盗用記事がまるっと配信されてしまったケースもあるので、そっち方面から攻めるかな、などと悩んでおります。その場合、Gunosy側は「規約上、権利侵害についてはワシらは知らんからSpotlightに言ってくれ」って言い出す可能性が高いわけですから、そこから攻めるのも一つの手かもな、と思うわけであります。

そんなわけでSpotlightのライターとして活動してらっしゃる方、その方面に詳しい弁護士さんとか専門家の方がいらっしゃれば、是非ご連絡を頂き、お知恵を授けて頂ければと存じます。その後の顛末に関しては追って報告致します。

両社の根底に流れる悪しきDNA

そもそも、DeNAにしろサイバーエージェントにしろ、そもそもが「銭ゲバ企業」として悪名高い会社でもあります。

記憶にある限りでもDeNAは独占禁止法違反で排除命令を食らった過去があったり、コンプガチャ問題ではDeNA・サイバーエージェント双方共に「景品表示法に抵触する可能性アリ」とお国から怒られる程度にやらかしておりましたし、ステマ問題で真っ先に名前が挙がったのがサイバーエージェントですし、サイバーエージェント傘下であるCygamesの「グランブルーファンタジー」のガチャ確率問題についても最終的には「違法性なし」という結論が出たにせよ、これまた消費者庁が出張って来るくらいにはトラブっておりましたし、同じくCygamesが出している「シャドウバース」もBlizzard社の「ハースストーン」に酷似しているという指摘が相次ぎ、本家本元のBlizzard社からも半分馬鹿にされるような扱いをされている上、先日はイベントまで炎上したりと、まあ「利益重視!」みたいな姿勢が要因となる不祥事を色々とやらかしておるわけです。モラルとかコンプライアンスってなんなんでしょうね一体。

※【追記】「ハースストーン」と「シャドウバース」の関係性においては様々な意見があるようで、「十把一絡げに批判するのはどうか」というご意見を頂きましたので訂正させて頂きます。元々は「ハースストーン」のtwitter向け広告における文言を「暗に揶揄してるもの」と解釈したのですが、あくまでadアカウントから発言されたものであって公式の発言ではないというご指摘を複数から頂きました。不快な気持ちにさせてしまった方々、及びシャドウバース運営の方々に対してお詫び申し上げます。

冒頭にも書いた通り、DeNAのキュレーションメディア群の事業統括責任者であり本件について真っ先に表に出てきて説明すべき責任を負っているはずなのに絶賛雲隠れ中の村田マリさんは、元を正せばサイバーエージェント社の新卒一期生でありまして、サイバーエージェント→色々あってDeNAという流れの中で受け継いだのが顧客軽視、コンプライアンス軽視の銭ゲバDNAあった、というのは苦笑せざるを得ません。同じような問題を巻き起こして退場したはずのBuzzNewsの残党がDeNA入りして同じような問題をやらかした、というのも「社名のDeNAって、こういう悪いDNAのことを指すのかな?」って感じで結構笑えないです。

「とにかく儲かりそうなことはなんでもやるぞ!」という、その商魂の逞しさは見習うべき所もあるかも知れませんが、ポッと出のベンチャー企業ならともかく、DeNAやサイバーエージェントといった、公器であるはずの一部上場企業、かつ業界を引っ張って健全な方向に導いていく使命を負っているはずの企業群が、こうやって先頭切って元気よく真っ黒な道を駆け回り、目の前に落ちてる小銭をチャリンチャリンと自分のポケットに突っ込んで行く姿勢に対しては「いや~、品が無いなぁ。大丈夫なのそれ」と懐疑的な目で見ざるを得ないわけです。

だって、これをやられたら業界全体がダメージを負うわけじゃないですか。パクリ記事を量産されたら誰も馬鹿臭くて現地に取材なんて行かなくなるし、適当なデマ記事を量産されたら誰もインターネットの記事を信用しなくなるし、そうなると最終的に自分達の首が締まるはずなのに、結局は自社のことだけ、目の前に落ちてるお金の事だけしか見えてない姿勢こそどうなんだ、と思うわけです。

「検索流入が1000万PVです!」

みたいに簡単に言いますけれども、それって1000万人が見ているわけじゃないですか。1000万人が見守る中で、「肩こりは霊が原因です!」って言えます?流石に恥ずかしくありません?結局、銭ころに目がくらむあまりに「数字」を「数字」としか捉えておらず、「そこに人間が存在する」って事を忘れてるんじゃないかって思うんです。WEBメディアを巡る全ての根本はたぶんここにあるんじゃないかなぁ。

ステマの問題も、信頼性の問題も、著作権の問題も、読者に対して真摯に向き合い、ちゃんと喜んで貰えるメディア、読者にとって価値のあるメディアを運営しよう、という意識さえあれば発生しない問題のはずで、業界の人間として「なんでこんな根本的な事をわかって貰えないんだろう」という悲しさもあるわけです。もちろん僕自身も自戒として襟を正さなければいけない部分があるのは当然ですが、少なくとも読者を騙したり、ガッカリさせてまでお金を稼ごうだなんてこれっぽっちも思わないし、そういう意識ってメディアを運営する人間にとっては必要なものなんじゃないかと思います。じゃないと長い目で見て絶対に上手くいかない。

元はと言えばgoogleの検索アルゴリズムがこういったモラル無き企業によって「ハック」され、それによって検索順位結果を乗っ取られる、という問題が根本にはあるわけですが、過去、米国においてもコンテンツファームという、低賃金のライター、機械的に作られた文章でコンテンツを量産し、それを格納する事によってSEO的な価値を積み上げるといった手法が横行した事があり、それに対してGoogleがアルゴリズムのアップデートを行ってそういったサイト群が軒並み駆逐された、みたいな事例もあったわけで、さすがに今回の問題についてはGoogleも認識しているでしょうから、彼らとしても何らかの対策を講じている最中じゃなかったのかな、と。これはまあ憶測でしかありませんが、遅かれ早かれ今回のようなモラルに欠けるサイト運営についてはどこかでペナルティを食らうはずで、どこかで行き詰るはずです。アルゴリズムではなく、読者の方を向いたサイト運営を心がけた上で、そういった「悪しきDNA」を断ち切る努力をして頂きたいな、と思う次第であります。

そんなわけで長々と書いてしまいましたが、DeNAの「全てのメディアの記事を非公開にする」という対応については「思い切ったな」と正直思いましたし、これだけの騒動になって創業会長まで出てきて直々に頭を下げたわけですから、流石に根本からメディアビジネスに対する考え方を改めて頂けると信じております。その上で冒頭にも挙げた朽木さんや辻さん、BuzzFeedJapanなど、メディア人としての矜持を持った方々のご活躍によって、少しづつでもインターネットが良くなって行く事を信じております。恐らくはこういった問題は今がWEBメディアの勃興期であり、過渡期であるからこそ頻出している問題であって、市場とプレイヤーが成熟していくにつれ徐々に無くなって行くのかなぁという予想を立てておりますが、また同じような問題が出て来る事が無い、とは言い切れないのが悲しい所でして、今後もWEBメディアの発展のために、自分の事を棚に上げながらも悪いやつの悪口を元気に書いていきたいな、と思うところです。

【公開直前に追記】

この記事の内容について12月7日から、サイバーエージェント社及びSpotlight編集長渡辺将基さんに対して「貴社の見解を下さい」という依頼を投げていたのですが、公開直前に返答が来たので追記しておきます。

Spotlightでは、これまで会員(登録ライター)に対して、記事執筆いただくにあたり、権利侵害に関する注意・啓発を行うと共に、掲載事後での記事内容の確認、問題があると判断した記事への注意や非公開対応、問い合わせ窓口の設置などの体制を敷き、メディア運営をしてまいりました。

また、2016年11月からはユーザーが自由に登録・記事を公開できる仕組みを廃止し、過去の執筆実績をもとに審査を通過した認定ライターのみが記事執筆をできる審査制モデルを導入しております。

しかしながら、今回ご指摘をいただいた記事を含め、まだ十分に適切な対応ができていない記事が存在していることを確認いたしました。

運営体制の甘さによりご迷惑をおかけいたしましたこと、お詫び申し上げます。

多くのメディアでも報道されております通り、情報サイトにおける記事執筆、掲載にあたっての運営管理責任が大きく問題となっております。すでにSpotlightでも、医療や健康などに関する記事など一部非公開対応を行い、内容確認を進めている記事もございますが、以下のように、さらなる運営体制の見直し・強化を行います。

1.2016年12月9日より、これまで公開後に行っていた記事内容の確認について全記事を対象に公開前の事前確認を行う体制に変更いたします。

2.2016年12月8日中に、過去に会員(登録ライター)により投稿された記事で編集部で十分なチェックができていないと判断される記事全てを非公開とし、再度、編集部で内容の確認を行います。

この度の記事非公開対応では、これまでは非公開・削除対応までは行っていなかった権利侵害の疑いのある記事などもその対象とするなど、厳格に強化した基準で徹底した確認と対応を行います。編集部で問題がないと判断できた記事は順次再公開し、2017年2月末までを目処に全ての記事の確認を完了する予定です。

健全なメディア運営の徹底のため、体制見直しと強化に努めてまいります。

との事です。

「公開前に全ての記事をチェック」という部分については「一歩前進したかな」という所ですが、そもそもチェックする側の人間のモラルの低さから今回の問題が露呈しているわけでして、仕組みを変えた所でどれだけの効果があるんだろう、と思わなくもないです。本件についても引き続き生暖かい目でウォッチを続けていくと共に、記事中に触れた法的手段についても今後粛々と進めて行くつもりです。

すべての人々が安心、かつ健全にインターネットの利用ができる社会の実現を願ってやみません。