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アルビレックス新潟レディースが2年連続の決勝へ。今季2冠の女王・ベレーザはなぜ敗れたのか(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
ベレーザの攻撃を完封したセンターバックの中村楓(C)松原渓

12月23日に行われた皇后杯準決勝、日テレ・ベレーザとアルビレックス新潟レディースの一戦は、新潟Lが1-0で勝利し、2年連続決勝進出を果たした。

試合後の監督・選手コメント(新潟L)。

アルビレックス新潟レディースが2年連続の決勝へ。今季2冠の女王・ベレーザはなぜ敗れたのか(1)

【監督・選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

辛島啓珠監督

ーー試合を振り返って、いかがですか?

ベレーザ相手に勝利できたことが、率直にすごく嬉しいです。昨日、糸魚川の大規模な火災が発生しまして、避難されている方々もたくさんいらっしゃると思うのですが、新潟県民として、そういう方々を少しでも勇気付ける勝ち方ができたかなと思います。守備に回る時間が長くなると考えていましたが、案の定、ベレーザの迫力ある攻撃とポゼッションにボールを奪うことができず、決定的なピンチもありました。

その中でディフェンスラインが体を張って、前半を0−0で終えられたことが、この試合のポイントになったと思います。

後半は、「前半は相手が来ている分、後半は多少(スペースが)空いてくるだろう」ということと、後半は風上になるので、「シュートチャンスは思い切って打っていこう」と話しました。後半はうちがセカンドボールを拾えたり、優位な形も出来てきたので、その流れで点が取れてよかったです。また、その後に田中美南選手が下がってくれた(交代してくれた)のが、非常に大きなポイントでした。田中選手の背後へのランニングがなくなったので、我々にとっては守りやすくなったからです。1−0で結果的に逃げられて良かったですし、選手の頑張りが素晴らしかった。それに尽きると思います。

ーーリーグ戦(アウェイ)では(6−0)と大敗した相手ですが、守備面はどのような準備をされていたのですか?

背後への一発に注意しました。足元でコンビネーションで崩される分には、粘って最後に体を張れば(なんとかなる)と考えていたのですが、籾木選手が引いて、そこにうちのセンターバックがアプローチしたところでの田中選手の動き出しのタイミングとスピードが一番怖かったです。

ーー前半はキーパーの福村選手がいくつかのピンチを防ぎましたが、守備における彼女の存在をどのように考えていますか?

彼女は去年の終盤からレギュラーを勝ち取って、今年もリーグ戦の始めは試合に出ていたのですが、若さゆえに、当然いろんな失点に絡むミスもあり、リーグ戦の最後はケガをしてスタメンを外れることもありました。それで、中断期間に、サブキーパーの小金丸(幸恵)選手とどちらを出そうかというところで、非常に迷っていました。ただ、長野戦のパフォーマンスを見て、(準決勝は)彼女(福村)でいこうと決めました。この2試合非常にパフォーマンスが良くて、ノッてきているという印象はあります。まだ21歳なので、クラブにとっても今後非常に価値の大きいことだと思いますし、最後の1試合もしっかり頑張ってほしいですね。

ーー技術的な面では、1年前からどのような部分で上積みがありますか?

去年まではどちらかというと堅守速攻で、奪ったら縦の一発を狙う中で、非常にハードワークできるチームだったと思います。それで、どちらかというと守備のトレーニングより、基本的なパスの精度とかオフェンスの動き出しなどを反復してやってきました。攻撃に関しては、「止める、蹴る」というところと、ポゼッション能力ですね。ゴールに向かっていく時の突破で、2人目、3人目の動きに関してはこの1年間でかなり良くなりました。

ーー初タイトルがかかった決勝戦への意気込みを教えてください。

INACはリーグ戦で一度勝っていますが、僕よりも、選手が勝ちたいという思いが強いと思うんです。とにかく、僕は気持ちよく良い状態でやらせてあげる、それだけですね。あとは選手が頑張ってくれると思います。

DF 中村楓(キャプテン)

ーー前半は守る時間が長くなりましたが、90分間を振り返っていかがですか?

終始苦しい時間帯が続いた試合でしたが、それは選手も全員分かっていたことで、一人一人が粘り強く戦った結果が、この勝利につながったと思います。気持ちを見せて、最後まで走りきろうと思っていました。一人一人が粘り強く守備ができたのは良かったです。

ーーリーグ戦では大敗していますが、何が良かったのでしょうか?

(皇后杯準々決勝の)長野戦と同じように、一人一人の粘り強い守備がしっかりできていたことと、数少ないチャンスで決めきれたことですね。前半はバタバタしていたので、後半は自分たちのサッカーをしよう、と話をしました。

ーー決勝戦への展望をお願いします。

長野戦、日テレ戦同様に粘り強い守備というのがキーになると思います。自分たちのサッカーで勝ち切ることはもちろんですが、こうして遠くまで来てくださっているサポーターや、新潟で火災が起きたので、その被害に遭った方々に勇気を与えられるような試合をしたいです。過去3回決勝に行っていて、振り返ると、徐々に優勝に近づいていると思います。今年こそはこのメンバーで、トロフィーを掲げたいです。

(3)【選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

(4)【監督・選手コメント(日テレ・ベレーザ)】

に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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