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PK戦までもつれた皇后杯決勝戦。4度目の対戦を制したのは、INAC神戸レオネッサ!(3)

松原渓スポーツジャーナリスト
タイトルを掲げたキャプテン高瀬(左)とPK勝利の立役者となった武仲(右)

12月25日に行われた皇后杯決勝、 アルビレックス新潟レディースとINAC神戸レオネッサの一戦は、0−0で迎えたPK戦の末にINACが勝利し、2連覇を果たした。試合後の監督・選手コメント(INAC)。

PK戦までもつれた皇后杯決勝戦。4度目の対戦を制したのは、INAC神戸レオネッサ!(1)(2)

【監督・選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】

松田岳夫監督

ーー試合を振り返っていただけますか?

前半は入り方が難しく、選手のはやる気持ちと相手のプレッシャーへの対応で、ぎくしゃくした展開でした。特に、相手の積極性に対して引いた部分があり、後手に回ってしまいました。

後半は少し高い位置でプレーできるように修正しまして、ゴールが多少、近づいたイメージはありますが、最後のところで決め切るというところでは課題を残したゲームだったと思います。ただ、準々決勝から3ゲーム続けて延長戦になりましたが、勝ち切った結果、タイトルを取れたので、選手の頑張りに拍手を送りたいと思いますし、この優勝は全員で勝ち取った証だと思います。

ーー先発に伊藤(美紀)選手を中盤で起用された序盤の狙いと、後半、杉田(妃和)選手の投入はどのような意図でしたか?

準決勝から中盤のアンカーのソヒョンをセンターバックに組み込むような形で守備ラインを形成していました。そういう意味では攻撃的というよりは、守備面で、オフェンシブハーフがボランチの仕事もしなければいけない状況で、準決勝、決勝と日にちがなかったので、体力的な部分も考えて伊藤を先発させました。ボールをうまく回したかったのですが、後ろに比重がかかりすぎて思ったような展開にならなかったので、後半は前へのパワーを持った選手ということで、杉田を投入しました。

ーー今年は澤さんがいなかった分、選手が自立し始めたと監督が感じた場面や、時期があれば教えていただけますか?

昨年は澤に引っ張られてチームがタイトルを取ったことは間違いないと思います。ただ、澤に引き出されたものですが、それは「自分たちの力だった」ということに気づくのに、半年ぐらいかかりました。リーグ戦、再開後、システムを変更しながら彼女たちの良さを出せるように考えました。一人ひとりがプレーしないと成り立たないという状況の中で、(意識も)変化していったと思います。その中で、苦しいゲームでも勝ちを拾えるようになって自信が深まり、今日を迎えられたと思います。

ーー今年、キャプテンとしてチームを引っ張った高瀬選手への評価をお願いします。

高瀬は年間を通してケガもあり、試合に出られない時期もありましたが、その中でもチームを引っ張る姿勢を非常に感じました。そういう意味では、澤が背中で見せてきたところを、同じように苦しい状況の中でも周りに伝えるという点で、澤がやってきたことがしっかりと後輩に受け継がれています。その典型が高瀬だと感じています。

ーーINACは2部練習を多く取り入れる中で、ハードワークの面で勝れた部分もあると思いますが、INACの環境の良さをどのように活かしていきたいとお考えですか?

他のチームと比較すると我々はすごく恵まれた環境にあると思います。今後、女子サッカーが、サッカーに集中できる中で高めていくべきであり、我々はその最先端で走っているチームだと思っています。周りからは、環境面でハンデを感じることがあるかもしれませんが、我々はこの環境を最大限に利用しながら、少しでもうまく、少しでも強く、という気持ちで高めていきたいと思います。

FW 高瀬愛実(キャプテン)

ーー試合を振り返っていただけますか?

今シーズン積み上げてきたものを結果につなげることができて本当に嬉しく思います。後半、しっかり修正して自分たちの流れにできたことが優勝につながったのかなと思います。

ーー若い選手たちの活躍をどのように感じていますか?

今まで遠慮しながらプレーしていたこともあったのですが、自分たちがやらなければいけないというところを練習でも出してくれるようになりましたし、若い選手にたくさん救われた大会だったなと思います。また、自分は若い選手とは違った味を出していきたいなと思います。

ーー高瀬選手にとっての「味のあるプレー」はどのようなプレーですか?

自分のタイプではないかもしれませんが、(MFの南山)千明さんのように、流れをしっかり読んで、みんなのテンションの逆を取るプレーは味があると思います。みんながスピードアップしている時にスローダウンしたりとか、落ち着かせてくれたりするんです。今は速くて(どんどん前に)行っちゃう選手ばっかりなので(笑)もっとゲームの流れをコントロールできるようになりたいです。自分は中盤の選手ではないので難しいかもしれませんが、サイドでためを作ったり、落ち着かせる時間を作ったりということができればいいですね。

ーー来年はまた新しいチームになりますが、今年はどんなチームでしたか?

たのもしかったですね。この1年間で、特に若い選手は急にグッと伸びた感じがあります。それも、年上の選手が気持ちよくプレーさせてあげよう、というところが見えました。「もっとやりな」というだけでなく、「いい加減、上がって来なよ」と、引っ張る面も見せてくれたので。上の人に引っ張られた分は見ていてすごく大きかったと思います。

ーー特に、ご自身の成長を感じたのは、どのような面ですか?

リーグ戦、カップ戦と出られない時期があったのですが、そこで腐らずに練習でもずっと良いテンションを保ち続けられたことは良かったと思いますし、それがピッチに立てる時間が増えたことにつながったと思います。常に、どんな時でも同じテンションでやれることは、すごく大事だと思います。

(4)【選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】

(5)【監督・選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

(6)【選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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