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次の試合を観に行くためのトップリーグ週間ベスト15(第2節)【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
人気者のリーチはオン・ザ・フィールドでも頼られる(写真は前年度のもの)。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

日本最高峰のラグビートップリーグ第2節(9月2~4日)の私的ベストフィフティーンを紹介します。これからラグビーを好きになってもらう方の見どころ探しに活用していただければ幸いです。備考は文末にございます。

1 左プロップ

吉田 康平(トヨタ自動車)…準備の成果としてのスクラムは、得点のきっかけにもなった。開幕から上野隆太、ルアーン・スミスとのトリオで後方からの押しを活かす。豊田大樹(近鉄)らも、組み合う前からフォワード全体の重さを相手にほんのり乗せる。レフリングとの愛称との合わせ技でビッグスクラムを決めそうな。

2 フッカー

日野 剛志(ヤマハ)…キヤノン戦は、途中でスクラムを対処されながらも勝利。タッチライン際で待ち構え、キックを追いかけてインゴールへ。快足を飛ばした。ヤマハのフォワード陣は、しばしセットプレーの起った地点に留まって持ち前の資質(スピードや高さ)を攻撃で活かす。

3 右プロップ

浅原 拓真(東芝)…東芝が理想とする「1時の方向へ押す(フォワード全体がやや斜め右方向へ力をかける」)」の軸をほぼ全う。身長179センチ、体重113キロのサイズは昨今の右プロップにあっては小柄も、強さには定評あり。

4 ロック

トンプソン ルーク(近鉄)…前節に続き、コカ・コーラを破った第2節でもタックルの連続を全う。先制トライも決める。金昊範(クボタ)も、トヨタ自動車には敗れたもののランナーとして迫力を示す。

5 ロック

アイザック・ロス(NTTコム)…リコーから今季初勝利。抜け出した味方へのサポートは前半38分のブラッキン・カラウリアヘンリーのトライを演出。チームの攻防組織の歯車を全うするなか、いくつもの場面に顔を出した。

6 ブラインドサイドフランカー

ジョージ・スミス(サントリー)…ホンダに50-0で快勝。守備に間合いを詰められた時も身体を回転させながら前に出るなど、連続攻撃の潤滑油となった。「日本のゲームスピードに慣れてきていると認識しています」。

7 オープンサイドフランカー

リーチ マイケル(東芝)…NECから開幕2連勝目を奪ったこの日、ゲームキャプテンを務めた。味方選手曰く、「この時間帯はこのプレーが大事、など、わかりやすくゲームを進めさせてくれた」。本人も「それ、意識しました」とのこと。球をもらった時の突破力、プレーとプレーの間の動きのスピードは、相変わらず別格。

8 ナンバーエイト

リアム・メッサム(東芝)…NEC戦には背番号6をつけて出場。密集戦でランナーを抱え上げるかいな力! 攻撃網に参加しても器用にパスをさばく。

9 スクラムハーフ

田中史朗(パナソニック)…神戸製鋼戦で後半7分から出場。後半10分のジャッカル、同12~15分あたりの試合運び、同18分のスクラム脇をえぐってのだめ押しトライと勝負を象る。交代出場といえば、ホンダ戦で後半21分から登場の日和佐篤(サントリー)もテンポアップに成功。「接点から球を拾う→投げる」「複数人の味方が走り込む」の動作が素早く同時並行で。

10 スタンドオフ

小倉 順平(NTTコム)…得点機はこの人のランが光った。守備の凸凹を突いては、「自分のやりたいことを皆が理解してくれて、自分が活きている。周りもすごく声を出す」。ちなみに文字隆也(トヨタ自動車)もミスマッチ(バックスとフォワードとの対峙)を突いてのランや相手ウイングの背後をえぐるキックなどで魅せる。ノンキャップの(もしくは久しく国際舞台から遠ざかっている)日本人スタンドオフが、ハイパフォーマンスを維持しているような。

11 ウイング

アンドリュー・エブリンハム(サニックス)…スペースへ走り込む。パスをもらう。スペースを駆ける。タックラーを引きつけてボールを手離す。この一連の動作がしなやか。次点はこのゲームでポジショニング&スピードで魅せたJJ・エンゲルブレヒト(豊田自動織機)。

12 インサイドセンター

ヴィリアミ・タヒトゥア(ヤマハ)…日本代表のマレ・サウに代わってチームの中央突破役を任された。球を持てば真っ直ぐ守備網を蹴破った。

13 アウトサイドセンター

リチャード・カフィ(東芝)…鋭い飛び出しのタックルは健在。相手が攻撃中の密集から球を出すのに、やらたと人数を割いているな、と思ったら、その地点では防御役のカフィが1人で踏ん張っていた…というシーンもあり。自動的に、次の局面では東芝が数的優位を保つこととなる。

14 ウイング

彦坂匡克(トヨタ自動車)…低い重心で倒されない。よく観たら、相手にぶちかますのではなくセンチ単位でタックルの芯から逃れているのがわかる。対面との1対1で優勢と見なされるや、スタンドオフの文字、フルバックのロビー・ロビンソンからどんどんボールをもらった。

15 フルバック

コンラッド・バンワイク(東芝)…グラウンドの後方で球をもらう。向こう側の相手を抜きにかかる際、真っ直ぐではなく外側にやや曲線を描くようなランコースを取る。防御が追いつこうにも追いつけないぎりぎりの角度をなぞるような。間合いを持ってスピードを活かしたフルバックには、ほかにアンドレ・テイラー(近鉄)も。

<備考>

・ポジション解説は以下のURLのテキスト文中の「■」部分をご参照ください。

2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(前編)

2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(後編)

・背番号4、5(両ロック)、背番号6~8(フォワード第3列)と背番号11、14(両ウイング)は、ポジションの類似性から当日のゲームとは異なる背番号で選出させていただいていることがあります。

・基準は独断ですが、なるべく「その試合での勝利(もしくは勝利を目指す過程)に貢献した選手」をご紹介します。

・次節以降の詳細などはこちら

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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