次の試合を観に行くためのトップリーグ週間ベスト15(第12節)【ラグビー雑記帳】
日本最高峰のラグビートップリーグ第12節(12月17日~12月18日)の私的ベストフィフティーンを紹介します。これからラグビーを好きになってもらう方の見どころ探しに活用していただければ幸いです。備考は文末にございます。
昨秋のワールドカップなどで何となく勝手を知った方向けにまとめております。もしわからない箇所がありましたら、「まぁ、要は、そういう感じなのね」と読み飛ばしていただいてかまいません。きっと、実際の観戦時に照らし合わせられることと存じます。
トップリーグの第13節は12月24、25日、各地でおこなわれます。詳細はこちらをご確認ください。
1 左プロップ
稲垣啓太(パナソニック)…本人は万全でないとしながら、タックルしてはすぐに起き上がって防御網を埋めた。リコーを相手に10点リードに迫られた直後だった、後半19分頃。フッカーの堀江翔太キャプテン(この日のゲームキャプテンはフランカーの布巻峻介が務めた)のタックルでできた接点へ腕を伸ばし、ボールに絡む。ノット・リリース・ザ・ボールの反則を奪った。
2 フッカー
堀江翔太(パナソニック)…タックルとボールへの絡みで防御網を保った。日野剛志(ヤマハ)はラインアウトでこそ苦しんだが、フランカー三村勇飛丸キャプテンとのダブルタックルなどでピンチを防いだ。
3 右プロップ
浅原拓真(東芝)…密集近辺での突進とスクラムで勝利を導く。
4 ロック
谷口智昭(トヨタ自動車)…接点に対し、重量感あるぶちかましを連発。対するサントリーのジョー・ウィーラー(サントリー)は相手をいなしながら前進するなど、連続攻撃を円滑化。
5 ロック
グラント・ハッティング(クボタ)…前半から果敢に球をもらった。5分の先制トライ時は2つのボールタッチを絡め、その2つ目でゴールラインの手前まで推進。試合終盤にロータックルを決めるなど、最後まで足を動かした。ライアン・カンコウスキー(豊田自動織機)は緩急自在のランを披露。
6 ブラインドサイドフランカー
リアム・メッサム(東芝)…得点を促すビッグゲインを連発し、試合終盤も強烈なタックルを決めるなど最後まで仕事は怠らず。同じフォワード第3列の山本紘史(密集戦でのコンテストでも強さ発揮)、リーチ マイケル(球を持てば簡単に倒されず前に出る)らとともに強い突進を連発し、連敗を止めた。
7 オープンサイドフランカー
デービッド・ポーコック(パナソニック)…来日2試合目。前半15分のウイング山田章仁の逆転トライのきっかけは、この人の自陣中盤でのタックルとボールへの絡み(ラストパスもこの人だった。ボールを持つやかがみながらタックルをかわし、バックフリップパス)。得意のジャッカル(接点でのランナーの球を奪うプレー)は再三、披露する。味方の好タックルで孤立した相手を、逃さず仕留める。後半23分、敵陣中盤で繰り出した1本の時は、リコーのサポート役が束になって引きはがそうにも姿勢が崩れなかった。山下昂大(コカ・コーラ)も、クボタに敗れたものの接点でしぶとかった(後半初頭、一度はヤコ・クリエル(クボタ)に弾かれながらもすぐに起き上がり、目の前の接点へ圧力をかける。相手の落球を誘う)。
8 ナンバーエイト
ジョージ・スミス(サントリー)…トヨタ自動車戦にオープンサイドフランカーとして先発。自陣メートルエリアでジャッカルを決め、直後の味方の速攻からウイング江見翔太の勝ち越しトライが決まった(前半30分、ゴールも決まって15―10)。ピーター・ラピース・ラブスカフニ(クボタ)、アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコム)も接点で効果的な防御を重ねた。
9 スクラムハーフ
光井勇人(NTTコム)…連続攻撃のさなか、接点の球へ到達してから次の動作に移るまでのスピードが速かった。前に進むモールと右タッチラインの間の狭い区画をえぐったりも。流大(サントリー)も連続フェーズでテンポよく配球。井上大介(クボタ)は密集やラインアウトの周辺で味方のビッグゲインを促した。
10 スタンドオフ
大田尾竜彦(ヤマハ)…前半13分の蹴り合いの場面。正確なハイパントキャッチを続け、先制トライ奪取の礎を作った。逆に自らのキックでチャンスを作ったのは39分。守備の背後へ蹴り、その先で神戸製鋼の反則を誘発。ペナルティーゴールでの加点を導いた。ベリック・バーンズ(パナソニック)は長距離の1本を含め、4つのペナルティーゴールを成功させた。味方がビッグゲインをした直後の攻撃網を首尾よく組み立て、空いたスペースへスムーズにパス。
11 ウイング
山田章仁(パナソニック)…持ち場の右タッチライン際で3トライ。特に後半15分の3本目は、視線の先にあった乱れたバウンドのボールを拾って駆け抜けたもの。石井魁(東芝)も持ち前の走りでトライを奪取。松井謙斗(豊田自動織機)もホンダ戦の後半、敵陣中盤で何度も魅せる(相手ボールをもぎ取っての走りからのオフロードパス、数的優位を活かした攻撃でのビッグゲイン)。
12 インサイドセンター
ヴィリアミ・タヒトゥア(ヤマハ)…いつものように攻撃時の最初の突進役を全う。13―0のスコアで迎えた前半終了間際にはタックルしながら相手から球をもぎ取るなど、防御でも魅せた。立川理道(クボタ)も、攻めてはグラウンド中央で飛び出してきたタックラーに真っ直ぐ身体を当てて前に出た。自陣22メートルエリアでのジャッカルでピンチを救いもした。
13 アウトサイドセンター
マット・サンダーズ(クボタ)…切れのある突破で大外のスペースを破る。ディグビー・イオアネ(ホンダ)はジャッカル、長距離を駆け抜けてのトライで魅せた。石橋拓也(NTTコム)もランで強さを示す。リチャード・カフィ(東芝)は飛び出した相手守備の網背後でパスをもらいながらの突破で、得点を演出。攻守逆転を促すタックルでも力強さを発揮した。宮澤正利(ヤマハ)は鋭く前に出る守備組織のなかで、力強いタックルを放った。
14 ウイング
パトリック・オズボーン(クボタ)…前半だけの出場で2トライ。右タッチライン際での大柄な体躯を活かしたボールキープ、インターセプトからの長距離ラン!ハビリ ロッキー(ヤマハ)はタックルや味方がタックルした接点への援護など、防御で力強さを示した。
15 フルバック
ゲラード・ファンデンヒーファー(ヤマハ)…7本のゴールキック機会を全て成功させ、スピード豊かなランでチャンスを作った。ウィリー・ルルー(キヤノン)はクイックスローからのボールを受け取るや、対するNECのチェイスを振り切る。約60メートルの独走トライを決めた。ハイパントキャッチの直後のパスでも得点を演出した。近藤英人(クボタ)のきれ、マーク・ジェラード(豊田自動織機)のキープ力と絶妙な位置へ落とすキックも出色。
<備考>
・ポジション解説は以下のURLのテキスト文中の「■」部分をご参照ください。
2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(前編)
2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(後編)
・背番号4、5(両ロック)、背番号6~8(フォワード第3列)と背番号11、14(両ウイング)は、ポジションの類似性から当日のゲームとは異なる背番号で選出させていただいていることがあります。
・基準は独断ですが、なるべく「その試合での勝利(もしくは勝利を目指す過程)に貢献した選手」をご紹介します。