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『スターウォーズ』の物語の原点!見た気になれる【新三部作(その1)】「ファントム・メナス」】

渥美志保映画ライター

前回までは【旧三部作】をご紹介したのですが、みなさま、見た気になって頂けたでしょうか?

今回から3回にわたって【新三部作】をご紹介します。こちらから読むと物語は【時系列順】になります。【公開順】で楽しみたい方はこちらの【旧三部作(EP4)】からお読みになって下さいね。

【新三部作】で描かれるのは、【旧三部作】で銀河を支配していた銀河帝国が成立するまでのお話。主人公は【旧三部作】のルークの父親、アナキン・スカイウォーカーで、彼がダースベイダーになるまでを描いてゆきます。つまり【新三部作】は【旧三部作】から時代を遡った過去のお話なんですね。

「じゃあ【時系列順】に紹介しろ!」って話で、まあそれも分かりやすくていいんですけど、個人的には【公開順】で見るのがオススメ。というのも【公開順】で見る観客は行き着く先を知っていますから、【新三部作】は避けられない宿命の物語としてよりドラマティックになっていくわけです〜。

まあそんなことを踏まえつつ、こちらは【EP1】から行ってみましょう。

平和な銀河共和国内の対立を利用して勢力を伸ばしてゆくダークサイド、【EP1】で仕込まれた悪者は「通商連合」です。

銀河共和国が多くの惑星を束ねている時代。辺境の星々によって作られた通商連合が関税の問題でいちゃもんをつけ、それを口実に小惑星ナブーに侵攻しようとしています。どうやら黒幕は【旧三部作】で銀河帝国皇帝の座に収まっていたダース・シディアス、ホログラムで登場するフード付きの黒いマントのおっさんです。ナブーの女王パドメ・アミダラ(ナタリー・ポートマン)は、戦争回避の方策を捜しますが、腐敗と汚職で力を失った共和国議会・元老院の調停は不発に。いよいよやってきた軍隊がナブーの少数民族グンガ人の水中都市を襲うに至り、ジェダイの師弟クワイ・ガン・ジン(リーアム・ニーソン)オビ=ワン(ユアン・マクレガー)とともに、辺境の惑星タトゥイーンへと避難します。

ちなみにここで登場するのが、シリーズ中で最も嫌われたキャラ、グンガ人のジャージャー・ビンクスです。頭が悪い上に、人の話を聞かない空気を読まない、ところかまわずカメレオンみたいな長い舌で食べ物を巻き取るという、これっぽっちも可愛くない、どうしてこんなの作っちゃったのというキャラです。実際に公開当時、「アンクル・トムの時代の奴隷を揶揄している」「人種差別的」と観客から総スカンを食らいました。

もひとつ小ネタは、ここらあたりのアミダラ女王は影武者で、演じているのは無名時代のキーラ・ナイトレイなんですね。顔は白塗りで背の高さの違いが分かりにくい衣装にしてはあるものの、アミダラ役のナタリー・ポートマンとよく似てます~。

さてタトゥイーンについた一行は、幼いアナキン・スカイウォーカーと運命的に出会うことになります。そもそも超マザコンのアナキンは、10歳も年上のアミダラを見て「天使なの?」なーんつって一目惚れ。そしてクワイ・ガンは、壊れた宇宙船の修理代を「ポッドレース」で叩き出したアナキンに尋常でない能力を感じ、ジェダイにするため共和国に連れていきます。ちなみにアナキンはイエス・キリストと同じ、母親の処女受胎で生まれてます。彼はジェダイの預言書にある「フォースにバランスをもたらすもの」、つまり救世主になるはずの存在なんですね。

さて前半最大の見どころは、アナキンが出場した、このポッドレースです。低空に浮遊するマシンで限界ぎりぎりの超高速で自然の障害物サーキットを走るギャンブルレースなんですね。そのスピード感といい危なさといい、いうたら砂漠のF1。そのうちディズニーランドに、新たなジェットコースターのアトラクションとして登場しそうな感じ。

さて一行は宇宙船を修理し、共和国の首都惑星コンサルトへ。

アミダラ女王は故郷ナブー選出の議員パルパティーンと善後策を協議。腐敗と汚職にまみれた「共和国議会・元老院」が力を取り戻すために、議長のリコールと新たな議長の選出を訴え、結果パルパティーンが最有力候補となります。

一方、クワイ・ガンは「ジェダイ評議会」にアナキンの入門を進言します。

「ジェダイ評議会」とはマスターと呼ばれる「ジェダイの騎士」のトップたちが集まる最高峰の意思決定機関です。私の理解では、なんとなーく国連みたいなイメージ。一見共和国に属しているように見えて共和国からも独立していて、万が一共和国が暴走したりすればそれも食い止めることもあるんでしょう。目的は「平和を守るため」で、和平交渉とかに活躍し、軍は持ちません。まあそういう立場なんで、ジェダイは高潔で冷静、私利私欲を持たず、人を狂わせる恋愛のような感情も御法度(だからジェダイの師弟関係には「腐女子」好みの匂いがするんですね…)という厳しさが求められるので、才能があれば誰でも入門できる、とはいかないんですね。

そんなわけでアナキンも評議会のテストを受けることになりますが、「マザコン」という心の弱さをヨーダに指摘され、それ関係あるんですか?と軽くキレてしまい心証は最悪。でもクワイ・ガンの猛プッシュにより、結果保留でクワイ・ガン預かりになります。

ジェダイつながりでもうひとつ、まったくの余談ですが、私が「ファントム・メナス」ってイマイチだなあと思う理由のひとつに、ヨーダのパペットが全然可愛くないところです。緑色が汚くシワシワで、ギスギスと痩せた悪党ヅラで最悪です。ちなみにDVDを吹き替えで見ると、声は磯野波平です。これは好き。いらん情報ですね。

さて占領され戦乱に陥ったナブーは一刻を争う事態です。もはや元老院でやれることはないと感じたアミダラ女王は、ナブーの戦いに身を投じることを決意。一行とともに故郷に戻り、ジャージャー・ビンクスの手引きで、それまで人間と不仲だったグンガ人と連帯し、通商連合軍を迎え撃ちます。ま、このへんどーでもいいって思っちゃうのは、私もグンガ人がぜーんぜん好きじゃないから。早送りしたい。してますけど。(←やる気なし)

グワイ・ガンとオビ=ワンのふたりのジェダイは、このエピソード最強の敵、赤と黒の隈取のダース・モールとの対決に挑みます。クワイ・ガンはタトウィーンを離れる際に一度襲われているのですが、この人がマジ強い!演じているレイ・パークはそもそもスタントマンで、本邦初公開の両側に剣の付いたライトセーバーをグルングルン回しながら二人を相手にする殺陣は、めちゃくちゃカッコよくハンパないスピードです。

そして私の愛する(どうでもいい)クワイ・ガンは殺されてしまうんですね……。「あの子を頼む」。オビ=ワンはクワイ・ガンのこの言葉を心に刻み、心配するヨーダを説得してアナキンを自分の弟子にします。そしてこの後もずっと、くそ生意気なアナキンを大きな心で受け入れ、周囲の批判にさらされても守り続けるのです。【新三部作】で最も泣かせるのは、このオビ=ワンのアナキンに対する無限の愛情なんですね。

ポッドレースのテクを生かしたアナキンの活躍で戦闘は勝利し、ナブーには平和が戻ります。アミダラの盟友、パルパティーン議員は無事に元老院議長に就任し大団円――かと思いきや、ダークサイドは彼らの足元に、すでに広がっていたのです……

というところで、次回は【EP2】「クローン戦争」をご紹介します~!お楽しみに~

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http://bylines.news.yahoo.co.jp/atsumishiho/20151213-00052371/『スターウォーズ』の物語の原点!見た気になれる【新三部作(その2)】「クローン戦争」

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映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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