Yahoo!ニュース

あなたは、日本人(ジャパニーズ・オンリー)を見分けられますか!?

にしゃんた社会学者/タレント
写真は筆者。Newsweek (2006.9.13) より。

2014年3月。「Japanese Only」の低俗な垂れ幕が原因で、罰として無観客試合を命じられたサッカーチームが現れた。被る損失は1億円に及ぶと言われる。これは痛い。それ以上に、スタジアムでの試合観戦を楽しみにしていたファンにとって、わけの分からない軽率な言動のために、集団で罰を受けることに対して理不尽な思いをしているサポーターもいると、腑に落ちない気持ちを察します。勉強代として割り切るにはあまりにも高くつきすぎた感がある。二度と繰り返さない負の遺産として、人生の礎にしていくことがせめてもの救いになろう。この際、とことん勉強したいものだ。大きく、風呂敷を広げたものの高尚な話をするつもりはない。小さい話だが、でも意外と誰も気がついていない。

日本には「日本人」という言葉はもちろんあるが、それに対して「外国人」、「外人(放送問題用語)」や「外国人風」なども耳にする。これらの言葉を聴いても違和感を覚える人は少ない。無意識に「日本人」対「外国人」という区別が出来ている。その前提があるからこそ「ジャパニーズ・オンリー」たる言葉がこの社会で存在しているのである。

所詮区別する必要もないが、しっかり出来ているはずの「日本人」対「外国人」の構図は果たしてどこまで正確なのかについてあえてこの際、一緒に考えたい。

日本には、この国の総人口の2%弱にあたる208万人弱が「外国人登録」している。これは数字として表れる「外国人」対「日本人」の人口比である。登録者として表れない人もいる。1000万人という訪日外客(3ヶ月未満の滞在者)や毎年約1万人強という帰化・日本国籍取得者は別である。

さて、日本で「外国人」対「日本人」を区別するのに用いている物差しは、おそらく3つある。それは、国籍と、言葉と容姿である。日本人の顔で、日本語を喋り、国籍も日本だったら何の問題もないが、必ずしもその三点セットが揃うとは限らない。大いに裏切られる。

まず容姿から考えましょうか。実は日本にいる外国人登録者数の6割強が中国または韓国出身者である。訪日外国人の約6割も中国と韓国が占めている。荒っぽい言い方をすると、日本にいる外国人は、外見上日本人と区別することは難しい。

2番目に国籍だが、これをどのように考えましょうか。日本国籍を取得したら、ジャパニーズ・オンリーのジャパニーズとして受け入れてくれるのでしょうか。私も日本の国籍を取得しているが、ビフォーアフターは何も変わったわけではない。むろん、公務の立場以外で民間人が国籍提示を求めることは出来ない。

「日本人」対「外国人」の最後の区別材料は言葉であろう。外国人だから日本語が下手で、日本人だから日本語が上手だと言い切れるだろうか。国際化が進んだ現在では帰国子女も多く、私の周りだけでも、日本語の下手な日本人は少なくない。逆に私などは、電話で関西出身と思われることはあっても、外国人だとわかる人は少ない。また、見抜かれない自信もある。

日本は晩婚化、少子化と消極的なイメージだが、ここに「国際」と言葉が入ると、実は結婚ラッシュでベビーブームである。生まれてくる子供は、母に似るか、父に似るかは調整できない。日本人の親に似たか否かによって、ジャパニーズ・オンリーに入れるか否かまでやるのでしょうか!?例えば、宮沢りえや沢尻エリカはOKだけれど、ベッキーやウエンツ瑛士はダメですか?ご存知かと思いますが、ウエンツなんて日本語オンリーである。

考えることを放棄した結果、日本にいまだ根付く残っている「外国人」対「日本人」という虚構。その思い込みは時代に取り残されている証であり、時代に笑われる。

最後に今回のことで最も気になっていることに触れたい。ジャパニーズ・オンリーという垂れ幕を掲げているあなた!あなたは、代表的な・平均的な日本人ですか?誇りをもって、自分は日本人らしいと思っていますか?

※ 参考資料として筆者が書いた下記の記事も合わせて読んでいただきたい。

日本人のあなたが外国人として逮捕される日

「オレオレ詐欺」の次は「オレガイコクジン」-「外国人」を悪用する「不良日本人」

ジャパニーズ・オンリー!(Japanese only!)繰り返さないために。

「共生」で満足せず、「共笑(ともえ)」を目指そう!

21世紀の人権を再定義する。

日本に必要なのは、「割り算ではなく、掛け算の発想である。」

多数派ボケ国家日本への託け

安倍首相にも教えたい!スリランカは日本のお手本である。

阪神・淡路大震災から日本が得たもの〜「ボランティア」と「多文化共生」の誕生日としての1.17

日本の接客は世界遺産である

社会学者/タレント

羽衣国際大学 教授。博士(経済学)イギリス連邦の自治領セイロン生まれ。高校生の時に渡日、日本国籍を取得。スリランカ人、教授、タレント、随筆家、落語家、空手家、講演家、子育て父などの顔をもっており、多方面で活動中。「Mr.ダイバーシティ」などと言われることも。現在は主に、大学教授傍ら、メディア出演や講演活動を行う。テレビ•ラジオは情報番組のコメンテーターからバラエティまで幅広く、講演家として全国各地で「違いを楽しみ、力に変える」(多様性と包摂)をテーマとする ダイバーシティ スピーカー (多様性の語り部)として活躍。ボランティアで献血推進活動に積極的である。

にしゃんたの最近の記事