「アナと雪の女王の主題歌みんなで歌おう♪」シング・アロングは、なぜ成功したか。
大ヒットの『アナと雪の女王』。主題歌「Let It Go:レット・イット・ゴー:ありのままで」を観客みんなで歌う企画「みんなで歌おう♪歌詞付版」(シング・アロング)も大好評。ゴールデンウイークには全国約90館で上映されています。
■シング・アロングとは、催しの場などでみんなで歌を歌うこと
アメリカでは、映画にあわせて映画館のお客さんが反応するとか、よくありますよね。日本では、めったにありませんが、同じようなお客さんが集まっている名画座では、上映中に拍手が起きることなどもありました。
(私は若い頃、名画座で「カッコーの巣の上で」を見ていて、無口なネイティブアメリカンがバスケットの試合でシュート決めるシーンで、客席に拍手がわき起こったのを覚えています。)
普通は、日本人はとても礼儀正しいでしょう。映画でも、お芝居でも、音楽のコンサートでも。出来の悪いときも、静かに座って聞いています。
■日本人だって・日本語だから
日本人も参加して楽しむことが嫌いな訳ではありません。お芝居をしている人に向って、「待ってました!」「よ、大統領!」と声をかけたり、「おひねり」を投げたりとか。
歌舞伎の「○○屋!」という声がけとか(今では専門の方による掛け声が多いでしょうか)。
本当は、そういうふうにしてみたいけど、なかなかチャンスがありませんよね。そのチャンスがやってきたのが、今回の『アナと雪の女王』主題歌「レット・イット・ゴー:ありのままで」みんなで一緒に歌おう!でしょう。
まず、アメリカで「アナ雪」のシング・アロングがヒットします。アメリカで流行っていると聞くと、なんかカッコ良く感じて、自分もやってみたくなりますね。
でも、英語は難しい。英語だけなら、日本での「みんなで歌おう」は企画されなかったでしょう。でも今回は日本語版があります。ただ、英語の歌を日本語で歌うのは、普通ならカッコ悪い。ところが、今回の松たか子さんによる「レット・イット・ゴー:ありのままで」は、世界的にも評価が高い。
この日本語なら歌ってもカッコ悪くない。大きな口で、大きな声で、お腹の底から歌えて、気持ち良くて、しかもカッコ悪くない!
主題歌の映像にカラオケのような歌詞もでます。
■大ヒットだから・同じ思いで良い歌が歌えるから
みんなで一緒に歌いましょうといっても、ガラガラの場所じゃ、カッコ悪くて、恥ずかしくて歌えません。ところが、『アナ雪』は1千万人が見た大ヒット映画。
しかも「みんなで歌いましょう」の上映会に来るのは、たぶん何回か映画を見た、熱烈なアナ雪ファンに違いない。ああ、私も行ってみたい!となります。
■ありのままの姿見せるのよ!
『アナと雪の女王』の大ヒットは、歌のすばらしさ、映像の美しさに加えて、もちろんストーリーの巧みさです。とても現代的なテーマですね。魔法の力(個性)のゆえに傷ついた主人公が、ありのままの自分を取り戻す物語です(『アナと雪の女王』の心理学:レリゴーと個性の本当の意味を読み解く)。
『アナと雪の女王』の主題歌「レット・イット・ゴー:ありのままで」の歌詞には、「♪ありのままの姿見せるのよ」と物語のテーマのエッセンスが、そのまま詰まっています(『アナと雪の女王』の魅力:主題歌「レット・イット・ゴー:ありのままで」の歌詞を心理学から解説)。
この歌を力一杯歌うと、エルサの思いにますます感情移入できます。開放感が味わえます。そんな感想が報道され、ますます「みんなで歌いましょう」の輪が全国に広がったのでしょう。
大きな声で、みんなで一緒に、大好きな歌を歌う。これも一つの、「ありのままの姿見せるのよ」ですね。
■一緒に歌おう♪『アナと雪の女王』主題歌「Let It Go<歌詞付Ver.>」 (松たか子)
*補足5/6。ところが、こんな話も。
なぜ失敗した映画館があるのか:GWの「アナと雪の女王の主題歌みんなで歌おう♪」シング・アロング
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『アナと雪の女王』の心理学:レリゴーと個性の本当の意味を読み解く
『アナと雪の女王』の魅力:主題歌「レット・イット・ゴー:ありのままで」の歌詞を心理学から解説